Message from ecoislandエコアイランド通信
宮古島市制施行20周年記念:U18と描く島の未来

次世代が語る島の未来
2025年10月4日(土)、宮古島市制施行20周年を記念した「市民フェスティバル」が開催されました!!!
その一角で開かれた講演会「U18と描く島の未来―エコアイランド宮古島・SDGs・官民共創―」は、高校生と行政、市民団体が一堂に会し、“持続可能な島づくり”について語り合うことがテーマです。
「いつまでも住み続けられる豊かな島であるために、今、私たちにできることは何か」
笑顔と真剣な眼差しが交差する会場からは、「未来の島を自分たちでつくる」という確かな意志を世代を超えて感じられました。

会場には島の色もしっかり設置!!

「宮古島千年プラットフォーム」の役割
2008年に宣言された「エコアイランド宮古島」。
それは、自然・文化・暮らしを未来へと継承するための包括的な理念です。
宣言から17年。
時代や環境が変化するなかでも、「市民とともに歩む持続可能な島づくり」という精神は、今も宣言の中に息づき、SDGsという流れの中で存在感を高めてきました。
この理念を次のステージへと進める存在として、昨年12月に設立されたのが一般社団法人「宮古島千年プラットフォーム」(通称:千プラ)です。
千プラの役割は、市民・行政・事業者のそれぞれの「持ち場」を活かしながら、共にこの島の将来像を描くための“場”をつくること。
- 官民共創で、市民のアイデアを形にすること。
- 地域を歩き、今を聞き、未来を考えること。
- 環境・社会・経済の三側面の調和を探ること。
千プラは、宮古島の“次の千年”を見据え、市民プロジェクトの伴走支援にも取り組んでいます。

それではイベントのトークセッションを振り返ってみましょう!!
トークセッションは、環境・社会・経済の3つのテーマで進みます。

①【環境】「便利さの先にある責任」から始まる行動
各トークセッションのメインスピーカーである宮古高校、宮古総合実業高校、宮古工業高校、島の高等学院の生徒たちが登壇。
彼らがまず語ったのは、「海」と「ゴミ」の問題でした。
高校生のりあさんはこう語りました。
「買ったからには、捨てるところまでの責任もあると思う。コンビニのゴミ箱を探してでも、ちゃんと捨てたい。」
漂着ごみだけでなく、日常のポイ捨ても課題となっている宮古島。
小さな行動の積み重ねが、環境保全の第一歩です。
他にも、環境に配慮した日焼け止めを選ぶこと。
世界の観光地では、環境に有害な物質が含まれる日焼け止めの使用を禁止する動きが始まっています。宮古島の海域でもどのような日焼け止めが使うべきかという議論が始まっています。
地下水源の話題も上がりました。
「地下ダムで“取れるようになった”だけで、“水が増えた”わけではない」と語ったのは、環境配慮型洗剤 mizukara の生産者・原芹さん。

宮古島市では、地下水保全対策プロジェクトチームが設置され地下水保全に関するより一層の取り組みを強化していきます。

観光需要の高まりに伴い、地域との摩擦も課題として浮かび上がっています。
とくに島尻エリアなど海辺の美しい場所では、観光客の路上駐車が生活道路をふさぐケースもあると登壇者の発言がありました。
多くは「ルールを知らないだけ」という情報不足から生じるもので、住民と来訪者の間に小さなギャップを生んでいます。
この問題を解消し、どちらも気持ちよく島を利用できるように、地域と行政が連携してローカルルールづくりを進めています。
「知れば守れる」環境を整え、観光と暮らしの“いい塩梅”を探る取り組みです。
👨👨👦👦市民ができること
- ゴミを「出さない」「拾う」意識を日常に。
- 海や水辺でのレジャーでは、環境配慮型の日焼け止めを選ぶ。
- 水を“あるもの”としてではなく、“使わせてもらうもの”として意識する。
🏢行政ができること
- ポイ捨て防止につながる仕組みづくり(公共ゴミ箱の設置、観光地での回収システムなど)
- 環境教育の強化と、海洋ごみ対策の制度的支援。
- 水資源の使用ルールの明確化と市民への共有。
②【社会】文化をつなぐ、人をつなぐ

環境の次は、地域社会と文化の継承。
久松島民祭に参加した高校生はこう語りました。
「戦争や文化、歴史とつながる物語を、積極的に伝えていくことが大切。」
「美しい島」だけでなく、その背景にある“物語”を知ること。
それが文化を受け継ぐ第一歩。
伊良部島では国仲自治会会長の島袋さん率いる「千匹の鯉のぼり」プロジェクトが進行中。
世代間交流と観光協働を目的としており、将来的には千匹の掲揚を目指し、子どもたちの手作りや島内外から使用しなくなった鯉のぼりの募集で進められています。
伊良部島と下地島を結ぶ橋に掲げられる鯉のぼりは、地域の連帯を象徴するものかも知れませんね🎏✨️
子どもからお年寄りまでが協力し、世代を超えて島を彩る風景を期待したいと思います!
また、宮古島の方言「みゃーくふつ(宮古語)」はユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が2010年に発表した「世界の消滅危機言語地図(Atlas of the World’s Languages in Danger)」にて、“消滅危機言語”に指定されており、使われる機会が減ってしまっています。
そこで、中学校での給食メニュー放送を方言で行う試みなど、日常の中に言葉を戻す動きが広がっています。

👨👨👦👦市民ができること
- 地域の祭りや行事に参加する。
- 方言や昔話を家族で話す。
- “伝える側”として、文化の橋渡し役を担う。
🏢行政ができること
- 地域文化を継承する学校・地域連携の支援。
- 若者が関われる行事や活動の場づくり。
- 文化資源を観光や教育に活かすための仕組み整備。
このような意見や改善策が出ました。
③【経済】観光と暮らしの両立を

官民連携による観光と生活の調和政策の推進。高校生たちが語ったのは、観光の賑わいの裏にある“暮らしの現実”でもありました。
地価や物価が上がり、観光地は潤う一方で、地元の生活者には負担が増えている――。
放課後16時に学校が終わっても、次のバスは17時半。
1時間以上の待ち時間は、高校生の日常を不便にしています。
住民視点の交通網づくりは、持続可能な暮らしの基本です。また、地産地消を掲げながらも「宮古島産は高くて手が届かない」という声も。
パイナップル生産者の吉本さんは「もっと生産量を増やすことで単価を下げて、地元の人が気軽に買える価格帯にも挑戦してみたい。」と地元の消費率アップへ意気込みます。
👨👨👦👦市民ができること
- 「地元のものを買う」「リユースする」を習慣に。
- 清掃活動や地域プロジェクトに、無理なく参加する。
- SNSなどで地元の良い活動を発信し、観光客にも伝える。
🏢行政ができること
- 生活インフラ(交通・住宅)の調整と地域経済の公平性確保。
- 地産地消を支える補助制度の拡充。
- 官民連携による観光と生活の調和政策の推進。
終わりに
トークセッションと会場の対話を通じて浮かび上がったのは、環境・経済・社会の三つは、どれも切り離せない関係にあるということ。
「すべてはバランス。いい塩梅を見つけるのが一番難しいですね。」
「観光も、暮らしも、どちらも大事。
そのバランスを整えることが、島の未来につながると思う。」
そんな登壇者の一言が、会場全体の想いを代弁していました。
2030年、SDGsの目標年まで残された時間はあと5年。
エコアイランド宮古島の理念を次世代へつなぐために、
行政も、市民も、高校生も。
すべての世代が「同じ島の住民」として、行動を重ねていく時が来ているのかも知れません。