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2024.03.01
特集記事

宿泊税の導入に向かう宮古島市

宮古島市では、観光客の受け入れにかかる市及び市民の経済的な負担を軽減するために、宿泊税導入の検討を進めています。

今回は、宿泊税の導入に向けた観光商工課の取組みを紹介します。

宿泊税導入の検討を進める背景には、平成30年から令和元年にかけてのオーバーツーリズムの課題が大きく影響しています。

ゴミの増加や環境負荷が深刻になる中、市は島の美しさを守りながら観光業を発展させる方法を模索していました。

その方法の一つとして、市民、観光客の区別なく、入島する人から徴収する「入島税」、市内のホテルなどに宿泊する人から徴収する「宿泊税」、取り組みに賛同する人から任意で収受する「入島協力金」の3種類の方法を候補としてあげましたが、

市民生活への影響や徴収体制、収支のバランスなどを考慮した結果、「宿泊税」が最適だと判断し、導入に向けた議論・準備を進めています。

 

 

令和6年度に議会提案を予定していますが、詳細な導入時期については、さらに議論が必要です。

宿泊税の金額としては現在のところ、一泊5,000円未満および修学旅行は非課税、20,000円未満は一人一泊200円、20,000円以上は一人一泊500円を想定し検討を進めています。

昨年度の試算見込みでは、県と市が折半とした場合、宮古島市の税収は年間2億円ほどです。

ただし、金額を含めた制度設計や他の市町村との連携についてなど、まだ議論は続いています。

 

税収の具体的な活用方法については、大きく4つあります。

1.観光客の受入体制の充実強化

・観光に関する危機管理、二次交通、観光関連施設整備、人材育成・確保、その他

2.環境及び景観の保全

・観光地・海岸・道路の美化、清掃、除草など

3.文化芸術・スポーツ振興

・文化・芸能・歴史・史跡等を活用した観光コースやコンテンツ造成、ガイド育成など

4.持続可能な観光の推進

・観光協会が中心となって推進するサスティナブル・ツーリズムガイドラインの普及促進など

これにより、宮古島市は観光客の満足度向上や、美しい海や街を守りながら持続可能な観光を目指します。

 

 

宮古島市には約400の宿泊事業者が存在し、これらすべての事業者との連携は不可欠です。

また、導入に向けて、ご協力いただく宿泊事業者の負担を極力少なくすることも重要になります。

そこで、理解を得つつ協力を仰ぐために、令和6年1月16日を初回として計6回の意見交換会を行い、多くの宿泊事業者の方々にご参加いただきました。

 

 

宿泊事業者から、「旅行費用が上がることで、旅行客が減るのではないか。」という質問があがり、

観光商工課は、「すでに宿泊税を始めている地域を見ても、旅行客の減少事例はない。海外のハワイを見ても13%と高い宿泊税をかけているが旅行客数に影響していない。また、沖縄県も宿泊税の導入を進めているため、宮古島市が主導権を持って宿泊税の導入を推進することで税の使途の幅を拡大させ、市の実情や課題に応じた柔軟な対応に活かしていきたい。」と答え、宮古島市が独自で導入するメリットを伝えました。

また、「クルーズ船の旅行客からは徴収できないのでは」という質問については、

「すでに課題としてあげており、宿泊税とは別の方法で検討している。」と答え、宮古島に来島されるみなさんに対して対応できるようにと、次の打ち手も進めています。

 


▲宮古島市観光商工課の洲﨑さん(左)、譜久島さん(右)

 

最後に、島の自然や観光について残していきたいものを伺うと、

観光商工課の譜久島さんは、「観光客の満足度をあげるために、観光地の美化や植栽も積極的に実施したい。街がきれいになって観光客も市民もウィンウィンな関係になれたらと思います。」と、
洲﨑さんは、「台風後には一週間以上も漂着物が発生する。流木など、大きくて危険で、汚いものもあり景観が損なわれる。きれいな海、街が続くような持続可能な観光にすること。特に観光客が来ることを、市民のみなさんが望むような観光地にしていきたいです。」と話してくれました。

 

宮古島市は、宿泊税導入を通じてより魅力的な観光地になるように、あゆみ出しています。

市民と観光客が共に喜び、笑顔あふれる島のために。