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2023.10.16
特集記事

「宮古諸島の生物多様性を考える市民講座」に行ってきました

宮古島市環境保全課の環境企画係主催の「宮古諸島の生物多様性を考える市民講座」に行ってきました。

今年度は今回の講座と合わせて、2回開催予定の市民講座です。「研究者と語ろう!宮古島の生物多様性と外来種問題」をテーマに、外来種捕獲業務についても理解を深めてもらうための講座です。

今回の講座は5人の専門家の方々と、沢山の市民のみなさんが参加して開催されました。

参加者は、生物調査の仕事で勉強のために来た方、宮古島の動物に興味がある方、宮古島の外来種問題に興味がある方など、理由は様々ですが、沢山の方々がこの島の生物多様性について関心を持たれていることがわかり、とても心強く感じました😀

トップバッターは、司会進行も努める亘さん。

亘さんの講義のテーマは「なぜ島で外来種を研究するのか。」
理由は、ずばり外来種は島の生態系への最大のリスクとなるためです。

外来種は、人間が島外から持ち込んだことが原因で、定着していると考えられています。クジャク、アフリカマイマイ、イタチなどの外来種です。
一方で、様々な固有種も存在しています。ミヤコカナヘビ、ミヤコサワガニなどです。

すでに外来種によって、固有種が絶滅の危機にさらされており、島の生態系への影響が大きいことが問題となっています。

外来種が定着してしまっている環境を見直し、島の固有種を守るために外来種の研究が必要になってくるのです。

さて、次に講義に立ったのは酪農学園大学・大学院修士1年の上原さん。
上原さんのテーマは「宮古島の外来種インドクジャクの食性分析。」

上原さんは、クジャクの素嚢と呼ばれる消化に先立って食べたものを一時的に貯蔵しておくための器官を、104個体調べることでクジャクの食性分析をされたそうです💦

その結果、植物質92.0%、動物質6.5%と植物質中心の雑食性であることが判明しました。
しかし、中には素嚢に動物質の割合が多くなる個体もおり、1個体の中から100匹以上のイワサキクサゼミが検出されたこともあったそう…。

このほか出てきて動物質の中にはミヤコニイニイ、リュウキュウツヤハナグムリ、ジャコウアゲハ蛹など、宮古島市自然環境保全条例の指定種の検出もあったそうです。

上原さんの研究から宮古島のクジャクは植物質中心の雑食性だが、

  • 「産卵期には動物質の割合が多くなる可能性があること」
  • 「季節に応じて多様な動物種を捕食していること」
  • 「動物質に偏った個体が複数検出されたことから動物質への選好性が高い可能性がある」

ということがわかりました。
今後、これらの点について明らかにできるように研究を続けるとのことです。

今回の市民講座では、参加者のみなさんからの質問も多く、取材したわたしたちも、外来種問題についてあらためて考えさせられました。

島の現状を知り、問題について考え、宮古島の生態系について今後も向き合っていく場の必要性を強く感じることができました。

次回の講座も期待!

「守ろう!わたしたちの生物多様性の島。」