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Message from ecoislandエコアイランド通信

2020.08.07
お知らせ

伝統ある漁業を未来に残そう~佐良浜地区漁業活性化について~

佐良浜地区は宮古島の中でも漁業が盛んで、独特の伝統漁の文化をもつ漁師の町です。

年々、漁師の数が減っており「佐良浜の漁業」が衰退していくかも知れない・・・という危機に直面しています。

佐良浜地区漁業では、この伝統ある漁業を未来に残していきたい、という思いから2018年から島の漁業の歴史を紹介する冊子などを作製されてきました。

今回は「佐良浜地区漁業集落活性化協議会」の活動について迫るべく、佐良浜地区漁業活性化協議会の普天間さんに取材させて頂きました!

 

今回の発刊で、第3弾目の発刊となる「佐良浜漁師の南方漁」。

過去に発刊した1部と2部は1000部ずつ発刊しましたが、個人で「20冊欲しい」と言ってくれる方や、東京、大阪といった県外に住む方からも新聞を見て「欲しい」との声があり大変好評だったそうです。
そのため、今回発刊した3部は、最初から2000部も発刊したんだとか。


「佐良浜漁師の南方漁」では、その時代に生きた漁師やその家族について書かれています。

ストーリーの中には、貧乏な家庭で育ち15歳になったばかりの少年が船に乗り漁に出る・・・といった様子が描かれています。
しかし、これは決してフィクションではなく、普天間さんが幼いころ見てきたリアルな場面だったそうです。
「どうしても、その時代の様子を本を通して伝えたかった」と語る普天間さん。

ほかにも、冊子のストーリーにはこんな場面があります。
高級なバッグや口紅などをお土産に買ってきてくれる漁師のお父さん。しかし家族はみんなその価値がわからないからお蔵入りした・・・なんて面白い話も。
思わず笑ってしまいました!

最後のページには、「佐良浜漁業のあゆみ」として、年代別の南方漁の様子をわかりやすいイラストとともに描いています。


佐良浜地区漁業の現状の課題は、やはり「
漁師の人数が激減している」こと

それにより、佐良浜地区の漁業の衰退に大きな影響が出始めているそうです。
漁師の高齢化により、海やサンゴ礁を利用する漁労の技術や知識、文化、方言を後世に伝えていくことが難しくなっている、とのこと。

普天間さんは、このままだと佐良浜地区の漁業が過去のものとなり、その漁業の方法や内容を伝えられる人が誰もいなくなる、という危機感を感じたそうです。
だから、現役の漁師がいて直接話を聞けたり自分自身船に乗ることができる今、私にできることを、と考えこのような活動にされるようになったんだとか。

「私は、それまで“補助金で地域活性化事業を行う”ことができるなんて知らなかったんです。この仕事に就いて初めてそういうことができると知り、やってみよう!と思いました。この事業を通して、今まで『カツオ漁』『アギャー漁』『南方漁』と3つの冊子を作成してきましたが、取材にあたりそれぞれの歴史や関わったひとたちの思い、そしてその時代の背景など、取材する中で私自身学びがとても多く有意義な時間でした。」
と、事業を通して感じたことをお話してくださいました。

将来的には、地域と漁師が一体となり観光業につなげていきたい。

だから今は漁師であっても漁以外に食堂で新鮮な海鮮料理をふるまったり、漁体験、魚をさばく体験、鉛節つくり体験、漁船乗船体験なども行っているのだとか。


▲事業の一環でつくられたアギャー漁のジオラマ


▲「カツオ解体パズル」。かなりリアルに再現されています・・・!


これらの取り組みを行うことで、地域の子どもたちに「漁業に興味を持ってもらう」きっかけになるといいなと思いました。
そして、地域に住む子どもたちの将来の職業に「漁師」が選択肢にはいってくれれば、佐良浜漁業の未来も明るくなるのだろうな、と感じました。

千年先の未来のために、新しいものをつくる、というよりも「今あるものが残されていく未来」になっていってほしいと普天間さんはお話されていました。
伊良部大橋が開通したり、病院が増えたり、と便利になるにつれて、島ならではの優しい心、助け合い、自然・・・などそういったものがうすれていくのでは、という懸念があるそうです。

そういう目に見えない「気持ちや助け合い」は、これから先もずっと残り続けてほしいですね。
そして、島のよさを残しつつ、島の暮らしがさらに便利になることを願います。

普天間さん、お忙しい中取材をさせて頂きありがとうございました!