Message from ecoislandエコアイランド通信
宮古島を支える水のしくみ
地下水が家庭に届くまで
私たちが毎日使っている水。朝の歯磨きや料理、お風呂など、暮らしのあらゆる場面で欠かせない存在です。
宮古島では、その水のすべてを地下水に頼っています。しかし、地下水をそのまま家庭へ届けているわけではありません。安全でおいしい水として供給するために、浄水場ではさまざまな工夫と管理が行われています。
ということで今年も、袖山浄水場の見学会に参加し、宮古島の水道水がどのような工程を経て各家庭へ届けられているのかについてあらためてお話を聞いてきました!!
宮古島の水道水は100%地下水
みなさんのご存じのように、宮古島には大きな川がありません。
そのため、水道水の水源はすべて地下水です。
主な水源となっているのは、白川(しらかわ)水源地などの湧水で、全体の約8割を占めています。残りの約2割は、島内9か所にあるボーリング井戸からくみ上げられています。
白川水源地のすぐ近くには山川水源もあり、これらの豊かな地下水資源が島の暮らしを支えています。
「硬水」を飲みやすく
くみ上げられた地下水は、まず「着水井」と呼ばれる施設へ送られます。
着水井とは水源(井戸や湧水)から汲み上げられた地下水が最初に集まる受水槽のことです。
宮古島の地下水は、石灰岩層を通って流れるため、カルシウムなどのミネラル分を多く含んだ「硬水」です。そのため、まずは「高度低減化施設」で硬度を下げる処理が行われます。
硬度低減化施設とは、サンゴ礁由来の石灰岩地層などの影響でカルシウムやマグネシウムが多く含まれる地下水(硬水)から、それらの硬度成分を取り除いて飲みやすい水(軟水〜中硬水)へと処理する浄水設備です。
施設内には「リアクター」と呼ばれる装置が4基設置されており、その中に「種ペレット」という小さな粒を投入します。そこへ苛性ソーダを加えて水のpHを調整すると、水中のカルシウム成分がペレットの表面に結晶化し、取り除かれていきます。
その後、アルカリ性に傾いた水へ硫酸を加え、中性に近い状態へ戻します。この工程によって、水の渋みが抑えられ、より飲みやすい水になるそうです。

微生物の力を活かした「緩速ろ過法」
硬度を調整した水は、次にろ過池へ送られます。
袖山浄水場には10面のろ過池があり、ここでは「緩速ろ過法」という方法が採用されています。

この方法の特徴は、薬品だけに頼るのではなく、微生物の働きを活かして水を浄化することです。砂の表面に生息する藻類や細菌などの微生物が、水中の不純物や細菌を分解していきます。
水が砂の層を通過する速さは、1日あたり約7メートル。時間をかけてゆっくりと浄化することで、安全な水へと生まれ変わります。
自然の力を活用するこの方法は、宮古島の亜熱帯気候にも適しているそうです。
水を守るための365日24時間の管理
浄水場では、水質や供給量を365日24時間体制で監視しています。
また、ろ過池の砂は使い続けるうちに目詰まりを起こすため、約1か月半に一度、表面の砂を5センチほど削り取る「かき取り」作業が行われています。削り取った砂は洗浄し、再利用されているとのことでした。
見学では、水源から紛れ込んだエビや大きなウナギがろ過池の中で成長し、清掃時に発見されることもあるという興味深いエピソードも紹介されました。
家庭に届くまで約10時間
こうして浄化された水は、貯水タンクへ送られます。
地下には4万トンのタンクが2基あり、合計8万トンの水を貯めることができます。令和7年度の実績では、1日あたり約2万~2万4,000立方メートルの水が供給されているそうです。
特に6月から8月にかけては、観光客の増加や気温の上昇により、水の使用量が最も多くなる時期です。
水源からくみ上げられた水は、なんと!約10時間から十数時間をかけて、私たちの家庭へ届けられています。
「当たり前」の裏側にある支え
今回の見学を通して、宮古島の水が多くの工程と人々の努力によって支えられています。
地下水をくみ上げ、硬度を調整し、微生物の力で浄化し、24時間体制で品質を管理する。その一つひとつの積み重ねが、私たちの「当たり前の暮らし」を支えています。
蛇口をひねれば水が出る。その当たり前に、今回の学びを思い巡らせてみると、水の大切さや、それを守る人たちの存在に対して、感謝の気持ちがふつふつと沸き起こってきました。
水、大切に使いたいものですね。