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宮古島市自然環境保全条例〜自然と共存する島へ〜
宮古島市の豊かな自然環境は、島民にとっての宝物であり、観光客にとっても大きな魅力です。しかし、近年の都市開発や外来種の侵入により、自然環境の保全が急務となっています。今回は宮古島市環境保全課に取材をし、「宮古島市自然環境保全条例」について詳しくお伺いしました。
宮古島市自然環境保全条例(以下「条例」)は、島の良好な自然環境を保全し、現在および将来にわたって市民の生活に潤いと安らぎをもたらすことを目的として制定されました。この条例は、合併前の平良市自然環境保全条例、城辺町自然環境保護条例を宮古島市が引き継いだものであり、宮古島市の自然環境保全の歴史と深く結びついています。
約20年前に制定されたこの条例は、都市開発や時代の変化に合わせ、新たな保全種指定や基準の見直しを進める動きが出てきています。条例の見直しには専門的な知識や調査が不可欠で、また市民にとって身近な動植物も数多く存在するため、すべての動植物を簡単に保全種に指定することは困難です。この選定の難しさが大きな課題となっています。
現在、条例によって保全種として指定されている動植物は合計115種類。
その中から、代表例としてミヤコカナヘビに焦点を当ててみましょう。
ミヤコカナヘビは、その長い尾と美しい緑色で知られるトカゲの一種です。名前に「カナヘビ」とありますが、実際にはヘビではありません。この種は世界でも宮古諸島にのみ生息する非常に貴重な固有種です。地元の方によると、「昔は島内でよく見かけたけれど、今ではすっかり見かけなくなってしまった」との声も。
ミヤコカナヘビはその希少さから、宮古島市の保全種としてだけでなく、「絶滅のおそれのある野生動物の種の保存に関する法律」により国内希少野生動植物種に指定されており、さらには「沖縄県文化財保護条例」においても県指定天然記念物とされています。
では、なぜミヤコカナヘビの数が減ってしまったのでしょうか?
ミヤコカナヘビはイタチやインドクジャク、ネコなど、外来種による捕食の影響を受けています。
また、都市開発で建物や道路が増えたことにより、草むらなどの生息域が減少したことも一因です。ミヤコカナヘビを守る取り組みとして、宮古島市では猟友会と協力し、インドクジャクなどの捕獲を行っています。また、環境省としては飼育下での繁殖を試みるなど、生息域外での保全にも取り組んでいます。
条例では、これらの保全種を捕獲、殺傷、損傷、採取する行為を禁止しており、違反して開発行為をした事業者には30万円以下の罰金が科されます。また、学術研究や学習目的で保全種を捕獲する場合は、市長に届け出て承認を受ける必要があり、無許可での捕獲や虚偽の届け出には20万円以下の罰金が科されることが条例で規定されています。
届け出は、保全種の生態や保護状況を把握し、適切な管理を行うために欠かせないプロセスです。市民や研究者が協力し、正確な情報を提供することで、より効果的な保全活動が可能となります。
自然環境の持続可能な保全は、次世代への重要な遺産となります。
環境保全課からは、「都市開発による豊かな生活環境だけでなく、豊かな自然環境および生物多様性を次世代に継承するため、今後も様々な取り組みを続けていきます。」と未来へ向けてのメッセージをいただきました。
では、市民や観光客にできる具体的なアクションには、どんなものが挙げられるでしょうか?
- 保全種を捕獲したり飼育したりしない
- ペットや外来種を自然に放さない
- 森などに出かけた際には、ゴミを持ち帰る
私たちが普段から意識しこれらの行動を徹底することが、自然環境の保全に繋がります。また保全種に指定された動植物のことを知ることから始め、その知識をもとに未来の宮古島を守るための行動を皆で一緒に起こしていきましょう!