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2024.02.14
特集記事

宮古の固有種!ミヤコサワガニを救え!

※ヘッダー写真。宮古島市総合博物館提供写真

 

宮古には、ミヤコカナヘビ、ミヤコヒキガエル、ミヤコヒメヘビ、そしてミヤコサワガニなど、たくさんの固有種が生息してます。しかし、この宮古の生態系は今、重大な危機がせまっています。

今回、私たちが注目したのは、ミヤコサワガニです。

そこで宮古島市環境保全課、ミヤコサワガニ保護監視員としてご活躍されている照屋秀雄さんに取材をし、ミヤコサワガニの現状、保護のための取り組みについてお話を伺ってきました。


▲ミヤコサワガニ・宮古島市総合博物館提供写真

まずミヤコサワガニとは、甲幅が3㎝程度の宮古島固有のサワガニで、夜行性であり水中に生息してます。2017年から国内希少野生動植物種に指定されており、発見されたのは1997年で、新種に登録されたのはなんと2002年。種の保存法という法で厳しく規制される程、希少な生物が宮古にはいるのです。

現在宮古では、4か所の湧水とその周辺水路のみに生息しているそうです。そしてこのミヤコサワガニは、海水ではなく淡水でしか生きられません

 


▲宮古島市環境保全課斎藤さん

 

宮古島が海に囲まれているのに、なぜ淡水でしか生きることができないのか?

宮古島市環境保全課の斎藤さんいわく、これが大いなる謎とのこと。というのも、宮古群島は大昔、海の中に沈んでいたという説があるためです。諸説ありますが、宮古にハブがいないのも、沈んでいた影響があるのではと言われています。淡水でしか生きられないサワガニや、陸上でしか生きられない宮古島固有の生きものが存在することが大きな謎であり、ミヤコサワガニの存在などからも、この説を見つめ直すきっかけになっているのです。

生物が語る宮古の謎、ロマンたっぷりです!

さて、ここで今問題になっているのは、このミヤコサワガニの数です。そのため、この宮古の大事な固有種であり、絶滅の危機にあるミヤコサワガニを保全するための活動が行われています。

そこで今回、詳しい場所をお伝えすることはできませんが、ミヤコサワガニ監視地区に特別にご案内していただきました!

 

この監視地区で活動されているのが、照屋秀雄さんです。

照屋さんは2015年からこのミヤコサワガニ保護監視員としてご活躍されています。お話を聞いていて驚きましたが、なんと照屋さんの担当するエリアでも、ミヤコサワガニは直近3年でたった2匹しか発見されていないそうです。

なぜ、ミヤコサワガニはこんなにも数が少ないのか。その原因として、もともとの希少性の上、生息出来る環境が破壊されていること、他種に捕食されている可能性など様々な理由があります。そしてこの捕食の中には、カメの影響も考えられており、その一つの種として挙げられるのがヤエヤマイシガメです。

 


ヤエヤマイシガメ・宮古島市総合博物館提供写真

 

ヤエヤマイシガメとは宮古に住む国内外来種で、背甲長14cmの雑食のカメです。このヤエヤマイシガメがミヤコサワガニの生息地に侵入してしまっているようです。

ヤエヤマイシガメがミヤコサワガニを狙って食べるということはありませんが、雑食のためミヤコサワガニがターゲットになることがあるそうで、実際に捕食も確認されています。

そのため、宮古島市ではヤエヤマイシガメの捕獲に力を入れているとのこと。


▲返しのついたヤエヤマイシガメの捕獲網

 

このヤエヤマイシガメの捕獲も照屋さんが行っています。

週に2回返しのついた網檻の中にエサをまき、ヤエヤマイシガメの捕獲。ミヤコサワガニについては発見次第市に連絡を入れるなどをして、ミヤコサワガニがその区域にいるかの確認をしているそうです。

これまでの保護活動の中でミヤコサワガニの死骸を発見したことがあり、それがヤエヤマイシガメに襲われた可能性があると照屋さんは語っています。

ヤエヤマイシガメの直近3年間の捕獲数は、令和3年が32匹、今年令和5年は17匹と、減少傾向にあるそうです。ヤエヤマイシガメの影響を減らすことが、ミヤコサワガニを守るために不可欠ですね。

 

大事な宮古の固有種を守るためにもヤエヤマイシガメの根絶に力を入れています。

ミヤコサワガニを含め、多様性・希少性に富んだ生物が生息する、重要な自然が宮古にはあります。

多くの人たちにこの記事を読んでいただき、島の大切な自然の保全につながっていくことを願います。