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2025.05.12
特集記事

「もったいない」から生まれた朝市

宮古島市公設市場から広がる暮らしの提案

宮古島市公設市場で月に一度開催されている「もったいない朝市」。
この取り組みの原点には、主催者・小西さんの出身地である香川県に根付く「もったいない」の文化があります。

はじまりは、毎月一度土曜日の夜に開催される「市場まつり」の翌朝、日曜の公設市場が静まり返っている様子を目にしたことでした。
「やっぱり市場っていいね!」と地元の人々が感じられるようなにぎわいを日曜の朝にもつくりたい。その思いから、人が集う機会として朝市を企画。
地域住民はもちろん、観光客にも開かれた場所として、多様な人が交わる場を目指しています。

地域の活性化とごみ削減という二つの課題に向き合いながら、持続可能な暮らしのきっかけを共有したいという思いから、この朝市は始まったそうです。

朝市に並ぶのは、規格外の野菜、廃棄予定だった食材、地元の花や日用品、エコな調味料や雑貨など。どれも、日々の暮らしに寄り添うものばかり。

たとえば、その場で朝ごはんが食べられる屋台。
あるいは、手に取った野菜に合う調味料を提案してくれる出店者。
どの出店者も、朝市の趣旨に共感し、それぞれがとっても個性的。

小西さんが描く理想は、農家さんがトラックの荷台に裸の野菜を積んで市場に乗り付け、直接販売するファーマーズマーケットのような風景。
生産者の顔が見えることで、買う人は作物の背景にあるストーリーや思いを知ることができ、地元のものを選ぶという意識が自然と芽生えます。

「もったいない朝市」では、ごみの削減と、島のごみ問題に対する意識の変化もテーマにしています。
離島である宮古島はごみの処分にも相応のコストと労力がかかり、小西さんは“拾う”活動だけでなく、“出さない”意識が必要だと感じていると語ります。
ヨーロッパで一般的な量り売りや、過剰包装を避けるライフスタイルを参考に、朝市ではできるだけごみを出さない工夫が取り入れられています。

来場者が自由に使えるお買い物袋・梱包材のシェアコーナーである、「どうぞの輪」も、そのひとつ。
家庭で使わなくなった紙袋や包装資材を持ち寄り、必要な人が使う。
再利用や返却を通して、小さな循環が生まれています。

(ちなみに、編集部も紙袋を寄付してきました!)

現在、公設市場の中の店舗の参加はまだ少ないものの、「市場の中の人たちも動きたくなるようなにぎわいを作りたい」と、小西さんは市場全体の活性化にも力を注いでいます。朝市が盛り上がることで、公設市場全体の魅力も再発見されていくはずです。

地元の人々が安心して通える場所として、観光で訪れた人が島の暮らしにふれる機会として、日常の中にある“ちょっといい選択”の積み重ねが、暮らしを持続可能な方向へと少しずつ変えていく。そんな未来を、朝市の小さな風景から描こうとしています。