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2024.04.02
特集記事

国定公園についての市民説明会を開催!

国定公園指定は、この島の美しい自然を保護し、次世代に受け継ぐ重要な一歩なのかも知れません。

管理されることで生態系や生物種の保護、美しい景観の維持が期待されます。

以前から追っかけ取材をしている国定公園指定に向けた取り組みですが、今回は、宮古島市教育委員会 生涯学習部 生涯学習振興課が主催の自然環境調査についての市民説明会に潜入取材!

前回記事はこちらをクリック!

国定公園指定のためには、現在の自然環境を把握する必要があります。調査は、海と陸の両方で行い、ドローンや船を使用した空撮や水中観察、陸では地質調査から徒歩での調査まで様々な手法を用いています。

最新技術から地道な徒歩調査まで幅広い手法を用い、その申請には相当な時間と労力がかかるとのこと。宮古の未来のために、地道ながらも綿密な作業を行っているのです。

現在の調査の範囲は八重干瀬、池間島、大神島、狩俣から南静園にかけての沿岸です。八重干瀬は日本最大のサンゴ礁群として有名で、天然記念物のサンゴ礁群としては初の指定をうけた場所。調査の進捗によれば、特筆すべきサンゴ群集が観察されており、水深32mのセンベイサンゴや水深9〜23mに直径約40〜50mにも広がるコモンシコロサンゴなどが報告されています。また、絶滅危惧種のジュゴンについても池間島南東岸で食み跡が確認されているのです。
島のすみずみまで調査されて、「保護すべきものは何なのか」が少しずつ明らかになってきています。

また、生涯学習振興課の梶原健次課長によれば、観光と環境の両立について自主的なアクションが重要であると強調します。国定公園指定に向けては、保全に対する新たな枠組みが必要であり、共通のルールが形成されることが望ましいとの立場を示しています。規制を強化するだけでなく、自主的な行動が環境へ良い影響をもたらすと語ります。

そして、琉球大学理学部教授の久保田先生による自然界をビッグデータ解析をし保全につなげるといったとても興味深いお話も聞くことが出来ました。

私たちの社会経済において、生物の存在は非常に重要です。自然環境の悪化が野生生物に与える影響はとても大きいのです。

なぜ生物が減少するのか、それには「絶滅の渦」というものがあります。自然環境の変化によって野生生物の生息地が減少し、結果として生物の数が減り、個体数が変動することです。

この負の連鎖が続くと、遺伝的に近い親戚同士の個体だけが残ってしまいます。個体数は、個体群の遺伝的多様性を保つ上で重要なのです。

現在、1万種以上の野生生物が絶滅の危機に瀕していますが、これを改善するために取り組む必要があると久保田先生は警鐘を鳴らします。

生物多様性の減少は生態系サービスの低下を招き、それがネイチャーネガティブとなり、社会経済の持続が難しくなります。そのため、2030年までには生態系の回復を目指すという観点から、ネイチャーポジティブ宣言がされています。

ネイチャーポジティブとは自然再興を意味し、生物多様性の損失を食い止め、回復させる取り組みです。これによって、私たち人間だけでなく、生物たちが健やかに生きるための環境を守ることが可能なのです。

市民の皆さんからの報告会に関する質問タイムもあり、国定公園指定に向けた調査について熱い質問がぶつけられました。

Q1海のサンゴの調査などをされていますが、なぜ海の生物の調査はしていないのかお聞きしたいです。ジュゴンが見つかった報告があったようにたくさんの生物がいるはずです。

梶原課長:マンタやイルカなどはいるという報告はありますが、今年度はまずは自然に目を向け調査をしました。来年度からは魚を中心に調査をしていきたいと考えています。

生涯学習振興課の梶原健次課長

Q2国定公園について調査範囲を広げることはできないのですか。ジュゴンが佐和田の浜にいたように範囲を広げて調査をしたら生物の生態についてもっと見えてくるものがあるのではないかと思います。

梶原課長:元々は八重干瀬の調査で始まったものだが、調査範囲を広げていきたいという思いはあります。

広い範囲で調査をしてこそ見えてくるものはあると思います。ですが、限られた予算の中での調査で、広く浅く調査をしていたら見えてこなかった結果も出ているの事実です。現状限られた範囲での調査になりますが、将来的には範囲を広げ、宮古全域の調査をしていきたいと思っております。

 

Q3宮古から色々な海の生物が減ったと感じています。50〜60年という短い期間に減ってしまった原因は何なのか。短期間で変わってしまった理由や、海の生物が減ったことについてお聞きしたいです。

梶原課長:生物の増減の原因究明は宮古に限らず非常に難しいのが現実です。私も生物、環境において、50〜60年という期間はとても短いものだと感じております。そして、今ある自然は宮古本来の自然ではないとも感じています。この原因究明のためにも今後ぜひ取り組んで明らかにしていきたいと思います。

今回の説明会では、とても多くの方々が参加しており関心の高さを感じました。

たくさん質問が飛び交い、その熱量も相当なものでした。

では、市民のみなさんがこの取り組みに参加し出来ることとは何でしょうか?

梶原課長からは「説明会などに参加したり、回りの人に国定公園化の取り組みを伝えたり、ぜひより多くの方々に関心を持って頂き、いろんな方面から声を上げて欲しいです。」という呼びかけがありました。

今後も、国定公園指定に向けた取り組みを追いかけ、取材を続けて行きたいと思います😃