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2023.12.13
特集記事

宮古島の水資源を守ろう!水資源の循環利用システムの実証実験

 


▲写真左から・まいぱり宮古島熱帯果樹園主任の 奥平さん、東急株式会社の太田さん、東急株式会社主事のミョーさん。

下地地区にある「まいぱり宮古島熱帯果樹園」。熱帯果樹園の見学ツアー、カフェ、宮古馬エサやり体験など、1施設内で様々なアクティビティが楽しめる施設です。その他、地元農家さんが育てた宮古島産の果物を、東急グループ会社のホテルやオンラインサイトで提供・販売する取り組みも行っています。

この施設では、複合発酵技術を活用した水資源の循環システムを導入し、排水を再利用する水循環利用の実証実験が実施されています。

▲複合発酵設備写真

この実証実験は、環境ビジョン2030を宣言し、脱炭素・循環型社会の目標を掲げ、2030年までに連結子会社全体の水資源の使用量を10%削減することを目指している東急株式会社が、水循環システムの技術を持つ株式会社長大と、浄化槽等の維持管理のノウハウを持つ東建産業株式会社の協力を得て実施されています。本取り組みは循環型社会の構築及び、生物多様性の保全に向けた重要な取り組みとしても高い注目を浴びているそうです。

本実証実験は、まいぱり施設のトイレやカフェなどから排出される下水を化学薬品などを一切使用せず、複合発酵設備にて浄化し、トイレ施設の洗浄用水として再利用するというものです。複合発酵設備により浄化された再生水は環境にも優しく、海洋や河川にそのまま放流しても問題のないレベルの水質となっているそうです。その特徴的な仕組みにより、水資源の効率的な活用と環境負荷の軽減がねらいとなっています。
現在、まいぱりで行われている実証実験は、以下の2つのテーマに焦点を当てて実施しています。

①複合発酵技術を活用することによって、施設における中水利用の水質基準を満たした水を安定的に循環利用する。
②まいぱり敷地内の特定箇所で再生水を農業用液肥として活用することで、土壌改良や生物多様性の保全への貢献、農作物の成長効果を検証する。

現在、本実証実験によりまいぱり施設内の上水使用量を約30%削減することができており、水資源の保全および施設の上水使用量の削減効果が得られ、安定的な水資源の循環利用が実現可能とされています。

 


再生水で育った島バナナ

まだ実験中の段階ではありますが、複合発酵技術により浄化された再生水を農業液肥として活用する実験も行っています。

現時点では、通常の水で生育しているバナナの木と比較して、再生水を散布したバナナの木は成長スピードが向上し、葉の色が濃く、糖度も高くなっていることが確認出来ていることから、再生水の効果によって土壌が改良されているのではと期待しているそうです。また、実際に近隣農家の方からも自家農地に再生水を利用し、実証してみたいとの依頼を受けたことから、現在、その農家へも再生水を提供しています。
さらに、災害時などに上水の使用が出来なくなった際、非常時用の水源として利用することができるのも大きなメリットの1つです。台風と農地の多い宮古にとっては、とても利用価値の高いシステムといえるのではないでしょうか。


▲宮古島市長の見学の様子

2023年7月7日には宮古島市長も本実証実験の現地視察に参加し、東急より水循環システムや今後の活用検討等についての説明を受けました。

まいぱりの施設担当である奥平さんは、「実証実験前には施設の運営に影響がないか不安がありましたが、現段階ではまったく支障はなく、むしろ上水使用量の削減などプラスの効果を得られている」と、実証実験の効果を実感していました。

本実証実験は2023年2月27日~2024年3月末までを期間としていますが、施設としての費用対効果やお客さまの感想を踏まえ、まいぱり施設において本運用を行うかどうかなど検討をされているそうです。
宮古の貴重な水資源を守るプロジェクト!今後の実証実験にも期待が高まります。