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Message from ecoislandエコアイランド通信

2022.01.25
特集記事

「漂着ペットボトルからTシャツへ」海洋プラスチック問題への取り組み!

 

宮古ブルーが美しい、世界に誇る「我(バン)たが美(カ)ぎ島(スマ)みや~く島(ズマ)ぬ海(イン)」!!

そんな私たちの宮古島にも、東海岸を中心に日々たくさんのゴミが漂着しています。

廃プラスチック類や漁具、家庭ゴミ、医療系廃棄物まで、本当にさまざまなものが流れ着きます。

そんな漂着ゴミの中でも、「ペットボトルは資源として再生利用できるのでは?」と思われますが、漂着ペットボトルには、砂などの汚れがたくさんついているため、現状では資源としてリサイクルできず、宮古島では可燃ゴミとして焼却処分されています。

漂着ペットボトルを放置してしまうと、波や紫外線に晒され、劣化し、生態系に甚大な悪影響を与えるマイクロプラスチックとなってしまうため回収したりしなければなりませんが、可燃ゴミが増え、温室効果ガスの増加につながってしまうという考え方もありジレンマを抱えて言います。

そんな中、石垣市では、ライフスタイル商社(豊島株式会社)と回収漂着ペットボトルの継続的な買い取り契約(自治体としては全国初)を結び、初出荷したという画期的な取り組みのニュースを耳にしました。

豊島株式会社は、漂着ペットボトルから帽子やかばんなどの雑貨・シャツなどの衣類を作るための繊維として再生利用する「UpDRIFT(アップドリフト)」という事業に取り組んでいるそうです。

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」のターゲット5にもあるように、持続可能な社会の実現のためには、廃棄物の発生防止し、削減し、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減していくことが必要とされています。

 

今回は、石垣市との取り組みについて、豊島株式会社の中村様、佐藤様にお話しを伺ってきました。

 

Q1. 豊島株式会社さんはどのような会社ですか?

A1. 当社は、江戸時代(1841年)に綿花商として創業致しました。現在では、生地糸からアパレルODM、近年ではデバイスを搭載したスマートウェアなどの開発にも取り組んでいます。原料から製品まで幅広く取り扱っており、ファッション業界の川上から川下すべてに携わっています。

 

Q2. エシカルファッションなどファッション業界は、他業界よりもSDGsに敏感のように感じますが、それはなぜだとお考えですか?

A1. ファッション業界がエシカルへと舵を切るきっかけとなったのは、2013年4月24日、バングラデシュの首都ダッカ近郊において発生したラナプラザ崩落事故です。

この事故は、死者、行方不明者、負傷者合わせて、4000人以上というファッション業界史上最悪の産業事故です。

それまでのファッション業界は、最新の流行を取り入れつつ、低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売してきました。

もちろん消費者にとっては、最新のトレンドを安価で取り入れることができますが、その裏では危険で劣悪な労働環境の中、低賃金で働かせられている人々がいます。

この事故の原因究明が進むにつれ、このような劣悪な労働環境、ずさんな安全管理が明るみとなり、世界的な批判を受けたファッション業界は、ファッションのあり方をもう一度見つめなおし、これによりファッションのサステナビリティに対する意識が高まっていくきっかけになりました。

また、2015年9月の国連サミットでSDGsが採択されると、エシカルファッション・サステナブルファッションがさらに推進されるようになったと感じています。

 

Q3. この漂着ペットボトルから繊維をつくる取り組みを始めた経緯や内容を教えて下さい。

A4. 当社は30年ほど前からサステナブルな取り組みを行っており、オーガニックコットンを広げる取り組みなどもしてきました。ちなみにオーガニックコットンを広めるのは、着る人の安全ももちろんですが、農薬を大量に使用する綿花栽培において、オーガニックで栽培することにより、栽培従事者の安全を守っていくという大きな意味があります。

そんな中、日本の海には、世界平均の27倍ものマイクロプラスチックが漂っていることを知りました。もちろん海流の影響で諸外国から流れ着いたものもあるため、一概に日本が出したゴミとは言えませんが、この個人の力ではどうにもならない現実に大きな衝撃を受けました。

それでも

「あきらめる気持ちをなくしていきたい。」
「何とかビジネスとしても、はめ込んでいきたい。」

という思いから、

この漂着ペットボトルを繊維に加工し、腕時計帽子、Tシャツなどに再生利用する「UpDRIFT(アップドリフト)」事業が生まれました。

サステナブルな社会へ貢献することは、当社の使命だと思っています。

 

Q4. 漂着ペットボトル再生利用の取り組みについて、石垣市と買売契約を結んだというニュースを拝見しましたが、今後、他の自治体とも連携をお考えでしょうか?

A1. 石垣市からは半年間のビーチクリーン等により、約1.5t(8万本分)の漂着ペットボトルをご出荷頂きましたが、ペットボトルから繊維をつくるロットは約10tなので、石垣市だけでなく、もっとたくさんの地域から漂着ペットボトルを集められればと考えており、今後、竹富島などとの連携も予定しています。

 

Q5. 焼却処分するのにも、島外に持ち出してリサイクルするのにも、CO2排出につながってしまいますが、これに関してはどうお考えでしょうか?

A5. どちらにしてもCO2がゼロとはいきませんが、環境負荷をなるべく抑えて、かけがえのない海洋を守っていきたいと考えています。また、これらの取り組みを通じて、より多くの皆さんが、海洋プラスチック問題を「ジブンゴト(自身に関わる事柄)」と捉え、自身の生活を振り返るきっかけになって頂ければと思います。

 

Q6. 今後のUpDRIFTの展開について、教えて頂けますか?

A6. 現在、UpDRIFT繊維(漂着ペットボトルから作られた繊維)について、たくさんの企業様からお問い合わせを頂いているのですが、まだまだ漂着ペットボトルが少なく、対応できていない状態なので、もっとたくさんの地域と連携し、取り組みを広げていければと考えています。

また、漂着ペットボトルをUpDRIFT繊維に加工するコストを考えると、UpDRIFT繊維100%の商品では、かなり高額になってしまうため、当面はこのUpDRIFT繊維を10%使用した商品で、ストーリーを伝えながら、生産ロットにのせていけたらと思っています。

 

 

 

また、石垣市の環境課の遠藤係長様は、「今までは、ビーチクリーンでゴミを拾っても、全て埋め立て処分するしかなかった。それが(ペットボトルだけでも)リサイクルできることになり、ボランティアさんたちのモチベーションアップにつながっている。SDGs目標14の「海の豊かさを守ろう」により近づけるよう、ペットボトルがマイクロプラスチックになる前に少しでも回収していきたい。」とお話しくださいました。

 

海洋プラスチックという世界規模の環境問題(>_<)

遠藤係長様の「環境に対する意識の高さ」に敬服し、豊島株式会社さんの「どんなこともあきらめずに挑戦していく心」に本当に大きな勇気を頂きました。

また、私たち1人1人が「ジブンゴト」として考えることが必要であることを改めて感じました。

小さなうねりから大きなうねりへ

まだ始まったばかりの取り組みですが、近い将来、大きな波となることを期待しています!

皆さま、お忙しい中、ご対応頂き、本当にありがとうございました!!