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Message from ecoislandエコアイランド通信

2020.12.18
お知らせ

日本で初めての「ごみゼロ宣言」!ゼロ・ウェイストタウン上勝町の取組みとは?

徳島県のほぼ真ん中に位置する小さな町、上勝町は日本で初めて「ゼロ・ウェイスト」宣言を行った町です。

周りは山地に囲まれ、1500人の人々が暮らしています。

そんなゼロ・ウェイストタウンである上勝町の「ごみゼロ」の取組みについて知った編集部。

「エコアイランド宮古島」としてはその取り組みを詳しく知りたい!と思い、役場職員の菅さんとゼロ・ウェイスト推進員である藤井さんに取材をさせていただきました。

 

そもそも、ゼロ・ウェイストとはどういう意味でしょうか?

 

ゼロ・ウェイストとは、「無駄、浪費、ごみをなくす」という意味。

ごみをどう処理するのか?ではなく、「そもそもごみを出さないようにしよう」という考え方です。

 

そんなゼロ・ウェイストタウンである上勝町では、ごみ収集車が町内を回っていないんです。

上勝町では、ゼロ・ウェイストセンターとよばれる場所で町民自らが「13 種類 45 分別」を実践しています。

13 種類 45 分別となると、なんて毎日大変なんだろう・・・と思ったのが率直な感想。

こうした取組に対して、町民からはどのような反応があるのでしょうか


上勝町ではかつてごみの処理は野焼きで行っていました。

そのころから地理的、経済的な理由でごみ収集車は走っておらず、自分の家で処理するのが一般的だったそうです。

自宅で燃やしきれないごみを野焼き場に持って行き、燃やして処理するスタイルです。

その後は法律が変わって野焼きができなくなり、焼却炉でごみを処理することに。

しかし小型の焼却炉をたてるも、ダイオキシン法の改正により建てて3年たらずで閉鎖することになったそうです。

 

ごみの分別が始まったのが1997年。9分別からのスタートです。

野焼きしていたときは際限なく燃やせていたのですが、焼却炉から出る灰の処理などの関係によりそこから22分別に変更しました。

住人から「めんどくさい」「やりたくない」などの声が強くなったのは35分別になってからだそうです。

もちろん反対の意見もあったのですが、焼却炉を閉鎖しないといけない理由を説明したり住民向けのガイドブックをつくったりと、段階を踏んできて今の「13 種類 45 分別」に落ち着きました。

 

では、ゼロ・ウェイスト政策を立ちあげて、現在に至るまでにどのような苦労があったのでしょうか?

 

やはり一番苦労したのは「分別してもらう」こと。

ごみを野焼きしていた時代は分別の意識がなく、習慣もなかったことから苦労したようです。

上勝町では環境問題に興味のある住民が多かったこともあり住民同士で協力を求めていきました。

この苦労を乗り越えることができたのは、「上勝町に住む人々が協力し合う」という土台がしっかりできていたからかもしれません。

実は、ごみ政策が始まるより前に住民の方がまちづくりに参加する取り組みを行っていたそうです。

「自分たちの住んでいる地域になにがあったら景観が良くなるか?暮らしやすいか?」など、住民が案を出す場を設けており、“まちづくりを自分ごとにする”という土台がしっかりできていたそうです。

つまり、「ごみ処理」もまちづくりとしてとらえていたからこそ、“自分ごと”としてごみに向き合えたのです。

 

こうした「まちづくりを自分ごとに」できる環境は素晴らしいですね!

大きな町でも小さな町でも、町をつくっていくのはその地域に住む住民なので、「まちづくりを自分ごとに」していける環境をつくるのが市の使命なのかもしれません。

 

これらのゼロ・ウェイストを推進している“ゼロ・ウェイスト推進員さん”の活動内容は、多岐にわたります。

その中で、また素敵な取り組みを発見したのでご紹介します。

それは「布おむつのプレゼント」です。

紙おむつは使い捨てが基本ですよね。九州では紙おむつのリサイクルができている自治体があるそうですが、上勝は出る量が少ないためリサイクルが難しいそうです。

「布おむつを使ってみたいけど、本当に使えるかが不安・・・買いそろえる初期投資をかけられない・・・」

といったママさんも多いはず。

こうした初期投資をゼロにし、布おむつの使用へのハードルを下げるために「今日から使えるセット」にして布おむつをプレゼントしているんです!

そんな素晴らしい活動を多岐にわたって行っている上勝町ですが、やはり課題はあるそうです。

上勝町は過疎地で、人口減少が著しいこと。そして1人あたりのごみの排出量は増加傾向にあることです。

ごみの資源化はすすんでいるのですが、実際に出ているごみの量は増えているという状態だそうです。

 

そして今後の目標として「企業連携してリサイクルができる商品づくり」にも力を入れていきます。

これまでリサイクルに力をいれてきてリサイクル率80%を達成した上勝町ですが、残り20%はどうしても焼却埋め立てせざるを得ないごみです。

ここは住民の努力ではどうにもならないため、ゼロ・ウェイストセンターを拠点に企業連携してリサイクルができる商品づくりを行っていきます。

もっとラクに処理ができる(分別をたくさんしなくてもいい)商品の開発ができれば、住民の負担も大きく減ると思っています。

また、これからも継続して、「ものを買うときによりごみになりにくいものを選ぶ、ライフスタイルに取り入れる」ことへの啓発や情報提供をしていくそうです!

 

地球温暖化や、環境問題が深刻になっているいま、「そもそもごみを出さない」という発想はとても大切なことだと思います。

こうした上勝町の取組がいろんな町に浸透して、こんなまちづくりがスタンダードになっていくと世界はもっと明るくなるはず。

日本で初めてのゼロ・ウェイストタウンである上勝町の取り組みが広まっていくことを願って、私たちもエコアイランド宮古島の取り組みを継続していきます。

 

菅さん、藤井さん、お忙しい中取材に対応して頂きありがとうございました!