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2018.08.08
お知らせ

島の自然を編み込んだ宮古上布

 

 

 

400年余りの長い年月を超えて受け継がれてきた伝統工芸品『宮古上布』

宮古島に自生する麻(苧麻)を糸にし、藍(琉球藍と蓼藍)で染めるなど、ふんだんに島の自然が使われております。また、細い糸づくりから一つ一つの行程を機械に頼ることなく、全て手作業で作るこの宮古上布は職人さんのおもいがいっぱい詰まっています。

今回はそのたくさんの魅力がいっぱい詰まった宮古上布について学ばせていただくために『宮古織物事業協同組合』へ行き、職人さんたちの姿を見て感じながらたくさんの熱い思いを聞かせていただいてきました。

様々な作業がたくさんあるのですが、ここでは私が特に印象に残っている作業、技を紹介させていただきます。

 

 

 

 

まず、宮古上布の図案作成を担当している、宮古島出身のみゆきさんの作業を見学させていただきました。

昔のデザインを参考にし、先生のアドバイスを受けながらアレンジを加えているそうです。昔のデザインはとても勉強になるそうです。

図案の多くは、自然や生活の中から発想したのだそうです。宮古上布の材料だけでなく、デザインのアイデアにも宮古島の自然が使われていると思うと親近感がわきます。

宮古上布を学ぶきっかけを聞いてみるとみゆきさんは、子どものころにお母さまが宮古上布を自宅で織っていて、完成した時のお母さまの嬉しそうな姿がずっと心に残っていたそうです。

また、宮古上布を織る織り機の音がずっと耳に残っていたそうです。そして就職などで宮古島を離れていたのですが、宮古島に戻った時を機に宮古上布について学び始めたそうです。宮古上布は様々な工程が分業でおこなわれてきたそうですが、自分ですべての工程をできるようにがんばっているそうです。

 

 

 

こちらは染め。一人で藍染めを受け持っているそうです。

『藍はまるで子どもみたいだよ。とっても手がかかる。』そう話すのが下里愛子さん。

 

『気温や湿度などの管理をしっかりしてあげないと状態が悪くなってしまうし、一人ひとり性格が違うように、藍も1つ1つが違ってしっかり見てあげないといけないんです。昔からある宮古上布の藍についての資料を読んでも通用しないんです。その時の藍の状態を見てあげないといけないんです。』

大変な作業です。

下里さんは20歳のころ織りを中心に宮古上布を作っていたのですが、出産や子育てを期に辞めてしまっていたそうです。そして数十年、宮古上布から離れていたそうなのですが、もう一度宮古上布に携わりたいと思い、50歳になってもう一度学びながら織りを始めたそうです。そして復帰してから5年程織りをやっていたのですが、藍染めする人がいなくなってしまうからという事で藍染めの作業を学び、1人で任されるようになったそうです。織物工場が移転したことで環境が変わりとても苦労されているそうです。宮古中、そして沖縄県中の藍に関わる人に藍について聞きながら、試行錯誤を重ねて藍染めに向き合い、取り組んでいるそうです。

 

 

 

次に、経絣糸の絣解き

染を終えたものを経絣糸の絣部分を括っていた木綿糸を外すという作業です。

手早く作業をこなすのは、この道60年の平良清子さん。

平良さんは中学校を卒業し、すぐに宮古上布の仕事を始めたそうです。それ以来、ずっと離れることなく宮古上布をつくり続けているそうです。『この仕事をしていてよかった。本当にそう思うよ。年をとっても出来るし、子育てしながらでもできるし、楽しいよ。』
80代とは思えない元気さに驚かされました。

 

 

さて、続いては、皆さんがイメージしやすい織りの作業。その中でも柄だしという作業です。

細い糸を経糸、緯糸をクロスさせながら少しづつ少しずつ織り進んでいきます。とても細かい作業でとても集中されていました。

 

 

最後に洗濯(仕上げ)砧打ち。この作業を一貫して担っているのが奥原義盛さん。この道20年とベテランさんです。

特に注目したのが砧打ち。反物が完全に乾く前に全体の幅出しをし重しをしてからしばらく置く。布が安定したらムラが無いようにまんべんなく仕上げの砧打ちをします。

砧打ちとは、大きな木のトンカチの様なもので布をたたく作業です。この作業を行う事により、より丈夫で滑りが良く羽織りやすくなり、生地が整うそうです。実際に砧打ちをする前に麻の袋でたたき方を練習するそうなのですがひたすら1年、または2年と長い練習をしないと出来ないそうです。完成前の宮古上布の失敗は許されません。

 

職人さんですら、袖を通したことがないというほど、貴重でなかなか手に入れる事の出来ない夏の高級着物、宮古上布。

高級品となってしまった宮古上布ですが、島の希少な文化を伝え、伝承していく事は、非常に大事なことです。

持続可能な島づくりのために…

次回は、宮古上布保持団体の理事であり、伝統工芸士の下地達雄さんにインタビューした内容を紹介させていただきます。