千年先の、未来へ。

エコアイランド宮古島公式サイト

follow us
Instagram facebook

Message from ecoislandエコアイランド通信

2021.06.24
お知らせ

地産地消を推進する地元酒造メーカー「多良川」の挑戦

 

宮古島エコアクションカンパニー制度のシルバースター認定企業でもある「多良川」さんでは、
持続可能な島づくりに向けて、さまざまな取り組みが行われています。

その中でも地産地消の取り組みとして、
2018年に発売された芋酒「IMUGE(イムゲー)」と、2020年に発売されたラム酒「MAKUGAN(マクガン)」が、
2021年4月にモンドセレクション初出品にして「ダブル金賞」を受賞されたという事で、
これまでの取り組みも含めて、多良川さんにお話を伺ってきました!

 

まずは IMUGE(イムゲー)について教えて下さい!

●IMUGE(イムゲー)って何??

琉球王朝時代、泡盛が貴族しか飲めない貴重なお酒だったのとは対照的に、
イムゲーは庶民が琉球芋や黒糖など、身近な材料で自家酒造していたのが、このイムゲーでした。
ところが、明治時代後期になり、自家酒造を禁止する酒造法が施行されたことで、イムゲーは一気に姿を消してしまいました。
そして、いつしか人々の記憶からも忘れ去られ、1世紀が過ぎた2015年、
地産地消を目指す泡盛酒造所3社(多良川、久米島の久米仙、請福酒造)により、この幻の芋酒イムゲーを復活させようというプロジェクトが立ち上がりました。
そして沖縄県工業技術センターと共同研究を重ね、2018年、ついに技術を確立し、幻の芋酒「IMUGE(イムゲー)」は現代に復活しました!

 

●「イムゲー」は芋焼酎?泡盛??

結論から申し上げれば、イムゲーは芋焼酎でも泡盛でもありません。
泡盛は、麹に水と酵母を加えて発酵させる一次仕込みのみ。
芋焼酎は、一次仕込み後、さらに甘藷を加えて発酵させる二次仕込みで造られます。
そして、イムゲーはこの二次仕込みの後、さらに黒糖を加えて発酵させるという三次仕込みを行い、造られており、
酒法税上ではスピリッツに分類されます。

またイムゲーの「甘藷(紅芋)に黒糖」という組み合わせは、現代では他に例を見ないほど画期的で、
これによりIMUGE(イムゲー)ならではの独特な味わいが生まれるそうです。

 

 

多良川さんに紅芋を納品している農家さんにもお話を伺いました!!

 

紅芋農家の上地さん夫妻。
下地地区で30年以上、紅芋を作られているそうです。
「多良川さんがつくるイムゲーはすべて宮古島産を使用しています。地元で生産したものを、地元で使う。農家としては嬉しいですね。イムゲーのおいしさがもっと広まり、どんどんファンが増えて、また芋をたくさん出せたら感謝です。」

令和によみがえった幻の芋酒「IMUGE(イムゲー)」
地産地消を推進すると共に、琉球庶民文化の伝承も兼ね備えた宮古島の地酒です。

 

次にマクガンについても教えて下さい!!

●MAKUGAN(マクガン)って何??

多良川さん本社の目の前には、宮古製糖城辺工場があり、製糖期には島のあちこちからサトウキビが搬入され、
砂糖の原料がつくられます。
そのサトウキビから砂糖の原料をつくる過程で副産物として生成される糖蜜、
この糖蜜からつくられたラム酒が「MAKUGAN(マクガン)」です。
さらにこちらのラム酒は、宮古島の原生酵母(MY17)を利用し、製造されており、原材料から酵母まですべて宮古島産。

爽やかなサトウキビの香りと、マイルドな口当たり、フレッシュさが特徴です。

 

●宮古島原生株酵母(通称MY17株酵母)って何??

2010年頃、多良川本社の隣の製糖工場で発見された宮古島原産の酵母で、
熟成させるほど甘い香り「バニラ香」へと変化していく成分(4VG)が通常より多く含まれています。
このためMY17株酵母を利用して造ったお酒は、口当たりがまろやかで、香りがよいのが特徴です。

また製糖工場から発見された酵母ということもあり、糖蜜との相性は抜群で、
宮古島の過酷な気候下でも活発に活動できる、まさに宮古島に最適な酵母です。

 

●商品開発のきっかけ

MY17株酵母が発見されて以降、多良川さんでは、この酵母を利用した泡盛や蒸留酒の商品開発を行ってきましたが、
さらなる地産地消推進のため、全材料を島内で調達できるサトウキビの蒸留酒「ラム酒」の製造計画がスタートしました。

そして2020年、発酵時間の見極めなど、さまざまな難題を乗り越え、宮古島産サトウキビのお酒「マクガン」を発売しました。

 

●ご担当者様の思い

▲取材にご協力頂きました友利さん(左)と神里さん(右)

このラム酒は、宮古島のサトウキビから取れる糖蜜、宮古島原生の酵母、宮古島の地下水とすべてが宮古島産。
もっと広く周知されれば、製造量が増え、さらなる地産地消につながる。
宮古島から全国へ、そして全国から世界へ、地産地消を発信していきたい。

地元で生産されたものを地元で消費する「地産地消」。
地域の農産物を使うことにより、第一次産業を活性化し、若者たちが地元で働けるようにする。
そうすることで地域が潤い、回りまわって酒造業も潤う。
多良川さんの商品開発の裏側には、こんなに壮大な想いがあったのですね。

これからも地域のリーダー企業として、さらなる飛躍を見せてくれそうな多良川さん、ますます目が離せません。

 

お忙しい中、取材にご協力頂きました皆様、ありがとうございました!!