千年先の、未来へ。

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Message from ecoislandエコアイランド通信

2020.10.23
お知らせ

エコの島の農業で地域を拓く〜東京農業大学・宮古亜熱帯農場〜

東京農業大学さんでは、日本に留まらず世界を視野にいれ、様々な場所に拠点をおいて農業に関する研究をされています。

宮古島にも研修センターを構えて研究や教育活動を行なっています。

この研究、エコアイランド宮古島がもっともっとエコな島になるための大きな鍵を握っているのでは・・・?と思い、宮古島の東、城辺福里にある【東京農業大学・宮古亜熱帯農場】の菊野日出彦教授にお話を伺ってきました!

是非ご覧ください!!

▲東京農業大学・国際食料情報学部・宮古亜熱帯農場 菊野 日出彦 教授

 

そもそも、なぜ宮古島に研修センターを設けたのでしょうか?

東京農業大学・国際食料情報学部は海外で熱帯・亜熱帯地域の農業そのものや農業に関する様々なことを研究しています。

国内で似たような気候があり、その研究や実習が出来る場所が沖縄でした。

そこで、沖縄への農場を設ける話があがり、誘致に手を挙げてくれたのが宮古島市に合併する前、それぞれの地域が独立していた頃の「城辺町」だったと言います。

それから、ハブがいない事もポイントだった、とのこと。

生徒の安全面を考えると、危険性が少ない場所で学んだり、研究したり出来る環境が良いそうです。

こうして必要な条件とご縁が重なり、東京農業大学さんの宮古島での学生の受け入れと研究が昭和63年から始まりました。

誘致当初から2012年までは、水に関すること(地下水や水の循環等)の研究を今は東京世田谷キャンパスにいる別の教授がされていたそうで、菊野教授が熱帯作物の栽培や研究等、作物全般の研究を始めたのはその後の2012年から。

そこから今に至るまで、この農場に常駐して、日々研究をされています。

 

▲城辺にある【東京農業大学・宮古亜熱帯農業研修センター】

 

研究内容は主に、芋(ヤムイモを中心に)、マンゴー、コーヒーの栽培に関する研究や、環境に負荷のかからない農業の研究です。

また、化学肥料をあげた時とあげていない時の変化の研究なども行われています。

こうして、地域のための研究、世界のための研究、地球のための研究、この3本柱を意識し、研究に励まれているそうです。

 

そんな研修センターの日々の成果として、世界的にも新しい研究の成果をあげてらっしゃいます。

ヤムイモについている細菌がどうやら空気中から栄養補給(窒素を)をしていることが明らかになったとのこと!!化学肥料の使用を減らした栽培が可能になるかもしれません。

「ヤムイモ」は、宮古島をはじめこの熱帯、亜熱帯地域の環境にとても適した作物とのこと。

地面にはう「サツマイモ」なども同様で、これらは露地栽培で育てられ、台風の中でも耐えられるのでこの宮古島の環境で育てるのにピッタリなんだそうです。

 

▲露地栽培で育てられているヤムイモのつる

 

▲収穫直後のヤムイモ。掘りがいのあるサイズ感の品種

 

他にも、農場での成果は沢山あります。

一つ目は、宮古島産のヤムイモ(ダイジョ)を使った商品開発!本格焼酎「ずみ」

2013年に東京農業大学さん、宮古観光開発株式会社さん、東急電鉄さん、そして宮古島市が連携し、宮古島で栽培されたヤムイモを使った商品化へ向けての取り組みを開始。

品種の選抜から栽培方法などの研究を重ね、2017年に製品化されました。

▲「ヤム芋焼酎・ずみ」と「ヤムイモ」

 

二つ目は、マンゴーの花の開花時期を早める方法を構築中です。台風の多い時期より早くマンゴーの出荷が出来るようにするとのこと。

沢山のマンゴー農家さんが喜ばれる研究ですね。

三つ目は、【GAP食材を使ったおもてなしコンテスト】で事務局長賞を受賞した事!(オリンピック関連の企画だそうです。)

  — GAP(Good Agricultural Practice)とは、 農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための 生産行程管理のことを指します。(コンテスト公式サイトより引用) —

GAP食材であるヤムイモを使った様々なメニューを考案し、地元食材もふんだんに使用したおもてなし料理の提案です。

収穫後に⼀次加⼯・冷凍し、ふるまう工夫をされたこと、そして、小麦粉を使わないで炭水化物源がとれる「ヤムイモチーズコロッケ」、「島野菜とハーブのヤムイモミートグラタン」のメニューで、グルテンフリーの方への考慮をしているという事が評価されたそうです。

ヤムイモでパンや宮古そばも出来ちゃうなんて驚きです!

▲ヤムイモを使った料理たち!

 

日々の研究は本当に地道な作業の積み重ね。。。

それがこういった結果に繋がり、地域、世界、地球に影響を与えていく・・・大変、意義深いお仕事だと編集部一同、感銘を受けました!

 

最後に菊野先生に「千年先の、未来へ。」残したい宮古島の〇〇を教えていただきました!

「複数あるのですが、3つ浮かびました。1つは、珊瑚に囲まれた島、農産関係、森や地下谷など「宮古島の自然環境全般」ですね!

2つ目は、「サスティナブル(持続可能)な農業」。多くの方が環境に配慮した農業の視点を持たないといけないと考えています。

最後3つ目は、宮古上布やブー(宮古上布の原料となる糸「苧麻(ちょま)」)などの「宮古島の伝統工芸」です。」

 

広い視野で、農業に限らず様々な宮古島のモノ・コトを挙げてくださいました!

こうして色々な分野に関心を持っているからこそ、日々の探求につながるのだなぁ、と思います。

宮古島の重要な産業である「農業」をこういった立場から支えてくださっている方がいることを、忘れないようにしたいですね。

菊野先生、取材のご協力ありがとうございました!