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2024.08.29
特集記事

離島初! 宮古空港、CO₂排出量削減バイオディーゼル燃料導入開始へ


日本航空(JAL)宮古島空港所は、CO₂排出量削減への取り組みの一環として、2024年8月19日より、バイオディーゼル燃料濃度100%「B100燃料」を空港内作業者車両への導入を開始しました。23日には、メディア各社に向けた特別公開の機会があり、エコアイランド通信の取材に行ってきました!

日本国内では既に11空港が作業車両へのバイオディーゼル燃料導入を行っており、宮古空港は国内離島空港では初となる12空港目とのことです。

作業車両「トーイングトラクター」

バイオディーゼル燃料は、軽油を使うディーゼルエンジン車両に、なんとそのまま軽油の代替燃料として使用が可能で、原料がその地域から出る植物性の廃食油(天ぷら油等)を使うので廃棄物のリサイクル、エネルギーの地域循環に貢献できると考えられています。

宮古島では、糸満市に本社を構え島内にも支社のある株式会社アトラスが廃食油の回収・精製を実施しています。
島内200〜300ヵ所のホテルや飲食店から廃食油を回収をし、燃料の製造を行っています。アトラスの代表来間さんは、宮古島出身であることから地元でも実施したいという思いもあり、今回の導入に繋がったそうです。

資源循環イメージ

バイオディーゼル燃料の使用により、食用油の原料となる植物が成長する過程でCO₂の吸収を行うため、ライフサイクル全体でのCO₂排出量を実質ゼロにすることが可能と言われており、通常の軽油を使用した場合と比べて1リットルあたり2.62kgのCO₂排出量削減の効果が見込めます。島内の貴重な資源を有効活用することで、地産地消の循環型エネルギーを実現に期待が膨らみます!

JAL宮古空港所の荻堂美枝子所長(右)、アトラスの来間和博社長(同2人目)、リーゼル協会の星子桜文会長(同3人目)=23日、宮古空港駐機場(JAL提供画像)

今回の特別公開に出席されたバイオディーゼル燃料の活用を推進する一般社団法人リーゼル協会の代表理事の星子さんは、廃食用油を「廃棄物」でなく、「地球の資源」と捉え、「エネルギー」としての役割を与え、持続可能な循環型社会の構築と地産地消の地域エネルギーの活用を進めていくことで「社会の未来責任」を果たしていくと力を込めます。
廃食油に含まれる夾雑物を除去、分離させて更に蒸留することで透明度の高い純度が高いバイオディーゼルが精製されます。

通常のバイオディーゼル(左)、今回導入した高純度バイオディーゼル(中央)、廃食油(右)

一方で課題もあるそうです。

今回トーイングトラクター2台を対象に導入しましたが、より脱炭素施策を進めていく上では、対象台数の拡大や空港内の設備拡充(燃料保管スペースの確保、給油オペレーションの向上等)を行っていく必要があるそうです。

また、現在は飲食店などの事業者のみからの廃食油を回収し、燃料の原料としておりますが、家庭から出る廃食油を回収する仕組みの構築も課題です。

この取り組みが出来れば、島内のごみの減量化や資源化にもつながり、より循環型社会が実現できます。

特別公開にやってきた嘉数登副市長は、「JALグループ、及び(一社)リーゼル協会、(株)アトラスの先駆的な取り組みに感謝するとともに、エコアイランド宮古の実現に資するこのような取り組みが今後も生み出されることを期待し、市としても力強くサポートしていきたいと思います。」と表明しました。

嘉数登副市長

またJALグループは、ゼロカーボンシティを掲げる宮古島市とも連携、協働して島の環境を守り、島の資源を大切に使い、「エコアイランド宮古島におけるCO₂排出実質ゼロ」実現のために、持続可能なエネルギー利用によるCO₂排出削減に取り組んでいくとのことです。

また、沖縄地区JALグループのSDGsの活動として、日本トランスオーシャン航空も色んなプロジェクトを推進、宮古空港においても「エコアイランド宮古島」、「JTA結∞ACTION」の取り組みと連携することで、沖縄県が提唱する「クリーンエネルギー・イニシアティブ」のアクションプランの着実な実施に貢献していく予定とのことで、より環境負荷の少ない空港を目指します。

2050年までにゼロカーボンシティを目指す宮古島市にとってもこのような民間企業の取り組みは、持続可能な島づくりを進めていく上でとても重要なアクションとなります。

私たち市民も、家庭内の廃油をバイオディーゼル燃料として再利用することで、CO₂削減に貢献できる日が来るかもしれません。宮古島市民として、この取り組みに参加し、未来に向けたエコアイランドの実現に力を合わせていける日がすぐそこまで来ていることを願って!!