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離島シンポジウム2023(みゃーく会議)開催
2023年11月29日に、JTAドームで一般財団法人電力中央研究所と株式会社ネクステムズの主催による離島シンポジウム2023(みゃーく会議)が開催されました!
電力が大規模系統に接続しない離島では、エネルギーの地産地消は共通かつ喫緊の課題です。そのため、「千年先の、未来へ。」をテーマとしたエコアイランド宮古島に向けて、 宮古での取り組みを共有し実証施設を紹介するシンポジウムです。
今年のシンポジウムの一般参加者は、118団体!!広いドーム内にはぎっしりと人が入り、注目度の高さを感じます。
一日目は、脱炭素に向けた再生可能エネルギー普及についての講演と研究紹介が行われ、世界を代表する企業の講演もありました。日本においても、宮古島市だけではなく、他の地域での取り組みも紹介され、興味深いラインナップばかりでした。
スコットランドのAquatera(アクアテラ)のIan Johnstone(イアン・ジョンストン)取締役は、オークニー諸島における再エネ導入の取組みについて講演しました。
オークニー諸島は、再生可能エネルギー開発の最先端地域であり、風力エネルギー技術の歴史は、島に最初の大規模電気風力発電機が設置された 1950 年代にまでさかのぼります。風力発電に向いているこの地域では、島全体に 450 基を超える風力タービンが設置されているそう。
なんと電力需要の100%以上を再生可能エネルギーから供給しています。脱炭素のお手本となるような地域に驚きです。
ここからは、脱炭素先行地域にも選定された宮古島市についての取り組み紹介です。
はじめは、早稲田大学スマート社会技術融合研究機構の先進グリッド技術研究所、石井 英雄様と広橋 亘様の研究紹介です。
5Grids構想と社会実装-宮古島5Gridsデータ活用への挑戦というテーマで、宮古のインフラシステムの研究が紹介されました。
5Gridsとは電力網、ガス網、通信網、水道網、交通網の5つのことです。
早稲田大学の先進グリッド技術研究所では、これらのデータ収集・分析・制御の在り方に関する技術面・制度面の研究を行っています。目的は、多種多様なデータを収集・統合し、AI分析を駆使した情報の利活用により、社会活動・市民生活の利便性・安全性の向上に貢献すること、都市インフラ・公共交通の最適化や企業における事業革新をすること。
5Grids構想により、例えば宮古島市では、電力データの収集・解析から、各地域の再エネ率を可視化したり、有事の際には蓄電池の残量を可視化し、不足している地域の把握など、復旧活動支援に役立てることが可能となります。更には、電⼒の需要実績(速報)を利⽤することで、水道やガスの需要を推定することにも役立つと言います。
水が貴重な本市ならではの課題もクリアでき、新しい未来のイメージが湧いてきます。
最後は、株式会社ネクステムズの比嘉代表取締役の研究紹介です。
テーマは、宮古島市で目指すカーボンニュートラルへの道。
環境省に、宮古島市脱炭素先行地域の共同提案者の中の1社が、株式会社ネクステムズです。
提案した脱炭素グリッドとは、先行地域全体にオンサイトPPAによりPV(太陽光発電)と蓄電池を普及し、再エネ由来の電気で地域内の全電力需要をまかない、区域境界の計測により電力を担保する仕組みで、環境価値を活用し地域内で完結する全国初の取り組みです。また、動く蓄電池である電気自動車の観光客と地域住民間のシェア、再エネ省エネ改修した空家等の地域主体による宿泊事業、脱炭素と地域課題解決の両立を目指しており、先程ご紹介した5Gridsの導入も含んでいます。
宮古島市のカーボンニュートラルの実現のため、再生可能エネルギーの主力化 × 分散化 × DX化を推進していこうとされています。
離島のエネルギー問題を解決するんだという熱のこもったプレゼンテーションでした。
離島シンポジウム2023(みゃーく会議)では、宮古島市で進められる様々な研究・実証をご紹介いただき、
エコイアランド宮古島の課題解決に向けて、貴重でとても有意義な会議となりました。
登壇いただいたみなさま、ありがとうございました!