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与那覇湾とラムサール条約

2017.12.29

ラムサール条約とは

1971年、イランのラムサールで「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」が交わされました。
日本では1980年に条約加入。釧路湿原が最初の登録地になりました。
ラムサール条約では湿地の保全と持続可能な賢明な利用を進める事を目的とし
「保全と再生」「賢明な利用」「交流・学習」の3点を重要な柱としています。

 

賢明な利用「ワイズユース」とは

湿地は、私たちの身近にあり、人間の生活環境や社会活動と深い関わりを持っています。
このため、ラムサール条約では、人間の行為を厳しく規制して湿地を守っていくのではなく
湿地生態系の機能や湿地から得られる恵みを維持しながら
私たちの暮らしと心がより豊かになるように湿地を活用する「ワイズユース」を進めることを謳っています。
「ワイズユース」は、健康で心豊かな暮らしや産業などの社会経済活動とのバランスがとれた湿地の保全を推進し
子孫に湿地の恵みを受け継いでいくための重要な考え方なのです。(環境省HPより)

 

与那覇湾は2012年7月3日にラムサール条約に登録され5年たちました。
しかし、湾内の水質汚濁などが徐々に悪化し、生物の生態系バランスに変化が起きたり
飛来してくる野鳥にとってもあまり良い状況とは言えません。
現在の与那覇湾の状況を宮古野鳥の会   仲地邦博 会長にお話しをお伺いしました。

「最初はニュースにはなったが、それから後の対策とかは全然なされていないですね。
普通はラムサール条約に登録されると、その湿地に住む生き物を展示したり観察する場所を作っている地方自治体が殆どです。
宮古島はまだ何も作られていません。ラムサール条約に登録されたからといって利用できないというわけではないんですよ。
今まで与那覇湾で漁業をしていた方は続けても大丈夫ですし。研究と展示ができる施設を早くつくって欲しいですね。
うまく活用すれば季節を問わず観光客も来るはず。
与那覇湾の生物がなぜいなくなったのかを調査しながら研究できればよいと思います。」

 

 

絶滅危惧種のクロツラヘラサギは朝鮮半島で繁殖し、台湾で越冬します。
宮古島は台湾までの道のりで貴重な中継地となっているのです。
つい、海や珊瑚礁の問題に目が向きがちですが、与那覇湾もまた宮古島にとって貴重な自然です。
自然というのは一度壊れてしまうと元に戻すことはとても時間のかかることです。
勿論、生き物が絶滅してしまってからでは遅いのです。
一刻も早く、ラムサール条約の通りに利活用されることを願います。