宮古島のアダンを発信! 「チームあだん」
2019.9.27亜熱帯から熱帯の海岸近くに生育する常緑小高木、アダン。
パイナップルのような実をつけ、南国を感じさせるこの植物を宮古島でも見かけたことがある人は多いのではないでしょうか。
アダンの葉は昔からパナマ帽(BEGINの歌の歌詞にも出てきますね♪)や
有名なところだと沖縄のお土産屋さんで見かける指ハブなどの材料として利用されていますが、
宮古島に自生しているアダンを使って、今、ひときわ目を引く素敵な作品を作られている方々がいます。
今回は「チームあだん」の広報担当・白井さんに取材をさせていただきました!
メンバーは現在9名。
とても繊細で素敵な作品を作られるチームあだんの皆さんですが、チームができたのは意外にも2年前。
宮古島のバスケットアーチスト、小川京子さんのワークショップに参加した事がきっかけだったそうです。
ワークショップをきっかけに、それまで知識も経験もなかったアダン細工の魅力にすっかり取り憑かれ、
そこからは自分たちで100円ショップで道具を揃えたり、色々な編み方を調べたり、
島のおばぁに習ったり、海外の作品を参考にしたり・・・地道に知識と経験を積み上げて
(なんと葉カッターやなめし道具までも自分たちで手作りしたのだとか!)
▲アダンで作られたパイナップルのピアスとブローチ。とても可愛いです。
アダン細工の工程は、たくさんの時間を要します。
アダンの葉を採り、トゲを取り除く。それをシークヮーサーで煮て漂白し、乾燥させる・・・。
そこから葉が曲がらないように1日も休まずなめしていく作業。
約1か月の時間を経て、ようやく編める状態になるのだとか。
これだけの時間、材料に向き合うのだから、愛着が湧くのも頷けますよね。
▲乾燥したアダンを1本1本、なめしていきます。
チームあだんさんの魅力のひとつに、昔から続く工芸品でありながら、
今の人にも受け入れられやすいお洒落なデザインがあります。
それは今の若い人たちにもアダンの事を知ってもらうきっかけになって欲しい、という思いから。
その理由には、アダンの文化が無くなってしまうかもしれない、という危機感にあると白井さんは言います。
「代替えの素材が出てきたことによる衰退もありますが、
宮古島では、最近の土地開発で、せっかくいいアダンが採れる場所があっても、
次行った時にはもうごっそり無くなっていた・・・ということがよくあります。
アダンの根が地に根付く事により島の海岸沿いの地盤強化をしてくれるという面もありますし、
開発すべてが悪いことだとは言いませんが、このままでは島のアダンがどんどん無くなってしまう。
バランスが大事ではないかな、と思います。」
今はメンバーの皆さんの庭にアダンを植樹して少しでも増やそう、という努力をされているようですがそれには限界がある。
悔しい想いをすることも少なくないようです。
▲白井さんの庭に植えられたアダン。縞模様のものはトゲがない珍しい種類で、ご近所の方の庭で発見して声をかけ株を分けてもらったのだとか。
「それと、意外かもしれませんが、今は島の子供たちもアダンって何?という状況です。
こんなに素敵なものなのに、それってすごくもったいない。語り継げていない私たち大人の責任だな、と思います。」
最近では地元の小学校の生活の授業にお邪魔して、アダンについて知ってもらう、といった活動もされているようですが、
島で必修になっても良いんじゃないかと思うくらい、アダンから学べることが沢山ある、と白井さんは言います。
昔の人はアダンを食材として、また帽子や草履、筆や燻製チップなど日用品として、
様々な工夫で島の暮らしを豊かにしてきたそうです。
便利な世の中になり、考えること、工夫すること、が昔より少なくなった今、確かに学ぶことは沢山ありそうです。
取材をする中で心に残った言葉があります。
他の離島のおじぃの言葉だそうですが、「サンゴ礁は、海で島を守る命綱。アダンの群落は陸のほうで島を守る命綱。」と言う言葉。
これだけでも、いかにアダンが島の暮らしに貢献していたかが伺える気がします。
「将来は縁側で孫のお守りをしながら、アダンを編んでるような島のおばぁになるのが夢なんです。笑」
そう笑ってお話される白井さんはなんだかとても素敵でかっこよかったです。
取材のご協力ありがとうございました!
チームあだんの皆さんの熱い想いを少しでも感じてみたい、アダンのことをもっと知りたい、という方は、
今年の10月の宮古島市民総合文化祭に出展されるそうなので覗いてみてはいかがでしょうか。
不定期にワークショップなども開催されているそうなので是非Facebookなどをチェックしてみてくださいね。
きっとこの島をもっと好きになれるきっかけになるはずです。