環境学習「高校生と学び考える持続可能な島創り」
2018.7.18
6月はじめ頃、宮古島の全高校で、【宮古諸島における「持続可能な開発目標」と環境エネルギー】というテーマで学習会が開かれました。
また、宮古島市エコアイランド推進課による「エコアイランド宮古島」についての講話もありました。
講師は、国立研究開発法人 【理化学研究所】 光量子工学研究センター 光量子制御技術開発チームの藤井克司さん、小林佳代さん。
そして、国立大学法人 【琉球大学】 理学部海洋自然科学科 科学系 の助教 博士 中川鉄水さんです。
研究者の皆さんのお話を直接聞けるなんて、とても貴重な機会です!
応用物理学会エネルギーシステム研究会の皆さんは長年、宮古島において研究活動(エコ関連施設の視察や研究成果発表等)を行ってきました。宮古島で活動していく中で「何か地域に貢献したい」との想いが生まれ、宮古島市とこの学習会を行うことが決まったそうです。とてもありがたいお話です。
では、授業の様子をご紹介。
まず、授業の途中で出題される先生からの質問に答えられるように、学校のタブレットや個人のスマートフォンを使って質問やその答えが選択できるWEBページに接続しました。
その場で生徒の皆さんの質問の答えが集計され、前方スクリーンに結果が映し出されるコンテンツでした。ライブ感があり、参加型の授業で、生徒さんたちもワクワクした様子でした。
また、配布されたワークシートが所々空欄になっていて、話を聞きながら空欄に当てはまる言葉を書き込む形式でした。
WEBを使ったり、ワークシートを使ったりといろんな工夫がされていて、普段の授業とはまた違った授業形態だったのではないでしょうか。
最初のお話は、持続可能な開発目標(SDGs)について。ピコ太郎さんの動画を交えながらの紹介でした。
ピコ太郎さんは、日本外務省に持続可能な開発目標(SDGs)のPRの為に協力を求められたそうです。そこで、PPAPをアレンジしてピコ太郎SDGsバージョンを考えたのです。そして、国連でその踊りを披露したのです!!ぜひ皆さんもその踊りをご覧ください。(ピコ太郎 × 外務省(SDGs)~PPAP~k)
持続可能な開発目標(SDGs)とは、先進国を含む国際社会全体の目標として、2030年を期限とする包括的な17の目標です。「誰一人取り残さない」世界を目指し、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に、統合的に取り組む為につくられました。
そして、全ての関係者(先進国、途上国、民間企業、NGO、有識者等)の役割を重視しているのです。
その中でも、環境・エネルギーに関する内容が、
目標 7(エネルギー) 全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。
目標12(持続可能な生産と消費)持続可能な生産消費形態を確保する。
目標13(気象変動) 気象変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。
以上、この3つの目標です。(他の目標項目など詳しくご覧になりたい方は、外務省ホームページをご覧ください。)
そのお話から、化石エネルギーの利用について、クイズを交えながら学んでいきました。
【人類活動とエネルギー】
○人類活動を便利にする為に化石燃料が大量に消費されている
○化石燃料の消費は現在も伸び続けている
【日本のエネルギー事情】
○世界5位のエネルギー消費国と言われている日本のエネルギーは自給率5%しかない
○主な化石燃料は石油、石炭、天然ガス
○石油はサウジアラビアから、石炭と天然ガスはオーストラリアからの輸入が最も多い
このような話を中心に授業は進められ、グループディスカッションが行われました。
「宮古島で地球温暖化について感じることはありますか?」
この問いかけについて、各グループごとに話合い、意見をまとめて発表し合いました。
各学校で様々な意見が発表されました。
もともと暖かく温暖な気候の宮古島ですが、最近はより暑くなったと感じているようです。
また、身近な自然が海という事で、海に関する気づきもたくさん出ました。
【伊良部高校で出た意見】
【宮古高校で出た意見】
【宮古総合実業高校で出た意見】
【宮古工業高校で出た意見】
このディスカッションの後に講師の先生から面白い質問が出されました。
Q.二酸化炭素が増えて温暖化しても、起こらないのは次のうちどれ?(起こらないことは1つだけです。)
A.北極の氷が解けてヨーロッパ航路ができる
B.シベリアに農地ができる
C.貝類が溶けるので甲殻類が減少するかも
D.二酸化炭素が増えてサトウキビがよく育つかも
E.マラリア蚊など伝染病が温帯地域まで広がる
F.地球の平均気温が際限なく上昇する
さあ、どれがあてはまるでしょうか?
この答えは、本当の正解があるか難しいところなのだと先生は言います。
ただ、今言われているのは、F.地球の平均気温が際限なく上昇するということは起らないだろう。ということだそうです。
(エコアイランド宮古島Facebookページで以前ご紹介した質問の答えです。皆さんいかがでしたか?)
その後は、自然エネルギーについて、化学燃料と自然エネルギー、地球温暖化の問題について学びました。
話し合いの時間はもうけられなかったのですが、講師の先生から生徒さんたちに向けて、
「私たちの身の回りで、地球温暖化に対して何ができるだろうか?」この事について考え、友達や家族と話し合ってみてください。と最後に課題が出されました。
さて、皆さんどんな対策が浮かんだのでしょうか?気になるところです。
講師の先生方からのお話が終ると、次は宮古島市エコアイランド推進課 三上さんから「エコアイランド宮古島の取り組みについて」お話がありました。
その中でも生徒さんが特に真剣な眼差しで聞いていたこと。
それは、「島の持続性に関わる出来事」についてのお話でした。
大規模な災害や干ばつなどにより、多くの人が宮古島を離れた。
インフラ整備や対策により人口減少を抑えることに成功。
しかし、人口増加や時代の変化などにより地下水質が悪化してしまう。
地下水保全条例や農畜産業の対策により現在は安定化。
今後、持続性の障壁になるのはどのようなことでしょうか?
やはり、身近な問題になるとより関心も高まりますね。
身近な問題と様々な知識を結びつけて、自然に優しい暮らしとはなにか…
環境問題の改善や自然保護などの為に、個人で出来る事もあれば、地域や世界規模で解決に向かって取り組まなければならない事もあります。
では、宮古島に住むわたし達はどのように生活し行動していけばいいのでしょうか?
まず一人一人がこの事いついて考えることが必要で、今回の環境学習会はそのような時間になったのではないでしょうか。
その上で、普段の生活を変えてみたり、環境問題に関するNPO団体の活動に参加してみたり。
千年先の、未来も小さな小さなアクションの一つ一つの積み重ねのような気がします。
様々なアクションが生まれていくと良いですね!