ジビエの食育「クジャクワークショップ」
2023.1.12
昨年2月のせんねん祭で松原正明さんが発表した「ジビエを通して食育の機会をつくりたい!」という取り組み。
たくさんの方々から賛同のお声が届いた松原さんの提案、現在、クジャク加工場建設に向けて、絶賛準備中ですが、その一環としてクジャクを通じて、「私たちが生きる島のことや日々の食のこと」についても学んでほしいと「クジャクワークショップ」も企画されています。
今回、わたしもワークショップに参加させてもらったので、その様子をお伝えします!(in 宮古青少年自然の家)
まず始めに、クジャクについて、松原さんから学びます。
クジャクといえば、きれいな羽を大きく広げているイメージですが、それはオスの繁殖期に見られる変化で、年2回の繁殖期が近くなると緑や青の羽が伸びてくるそうです。
宮古にいるクジャクはインドクジャクという種類で、元々はペットなどとして飼われていたものが逃げ出し、野生化(>_<)
現在、宮古には約7000羽ものクジャクが生息していると言われています。
草や木の実、昆虫、小動物など何でも食べる雑食性で、他の野鳥に比べると大きいため、食べる量も数倍・・・。
そんなクジャクたちが、宮古の草木や生き物を食べ尽くしてしまうことにより、固有種の絶滅につながる可能性があるだけでなく、その固有種を餌としていた固有種もやがては絶滅してしまうという負の連鎖も起き、長い間かけて形成されてきた生態系が大きく破壊されてしまいます。
また、近年、クジャクによる農作物の被害も多発しています。
森が開発などでなくなってしまうと、餌が足りなくなり、畑の農作物を食べてしまうとのこと。
言いかえると、それだけ宮古の自然が減ってしまってきているということになります。
参加者からは、「インドでは、クジャクがたくさんいてもなぜ問題にならないのか?」など、さまざまな質問が飛び出し、宮古におけるクジャクの現状について学びました。
宮古島市でも猟友会の方々と協力して、散弾銃などを使った駆除活動が行われており、生息数は確実に減ってきてはいます。
また、駆除されたクジャクも含めて、クジャクのお肉はほとんど流通していません。
宮古島市にも、食肉センター(と畜場)はありますが、現在の設備上、こちらで解体し、食肉加工することができません。
「ジビエを食肉として販売し流通させることができれば需要が生まれ、クジャクの個体数増加への抑制や生態系への影響も減らすことができる!!そして、このクジャクを通じて、『わたしたちの日々の食の有り方』についても目を向けてほしい」
そんな松原さんの自然やクジャクへの熱い思いを聞きながら、まずは知ることこそ第一歩であることを実感しました。
そして、クジャクの現状について学んだあとは、みんなでクジャク肉の食体験!
クジャク肉を使ったカレーをいただきます。(クジャクカレーは松原さんにご準備いただきました。)
さらに、カレーではクジャク肉が食べやすい反面、本来の香り、食感が分かりづらいということで、ソテーやボイルでもいただいていきます。
参加者たちも、実際にクジャク肉に触れるのは初めて。自分たちでソテー用とボイル用に切り分けていきます。
そして、気になるそのお味は・・・!?
「美味しーーーい(*^▽^*)!」
「ちょっと匂いがあるのかな?」と思っていたのですが、全く臭みはなく、とっても美味しくいただきました。
例えるなら、鶏のささみをちょっと豚肉風にしたような感じで、柔らかいのに弾力があってさっぱりしています(^-^)
ソテーとボイルには、松原さんが用意してくれたモリンガソースをかけていただきました。こちらも絶品!
参加者からは「このワークショップを通じて、宮古における外来種の危険性はもとより、人によって勝手に『害獣』にされてしまったクジャクが、人の都合で殺されてしまっている現状を知りました。せめてその命に感謝しながらいただきたい。」など、とても有意義なワークショップとなりました。
宮古島市では、エコアイランド宮古島宣言2.0で設定した5つのゴールの内の1つ「固有種の保全」の中で、2030年までの目標として「伊良部+宮古北部でのクジャク個体群根絶」、2050年までの目標として「市全域でのクジャク個体群根絶」を掲げています。
クジャクのように人の都合によって持ち込まれ、害獣にされてしまう生き物たちをこれ以上増やさないことで、自然が長い間かけて築き上げてきた大切な生態系を守っていく(^-^)
松原さんの今後の活動にご注目ください。
また、このワークショップをきっかけに、日々、意識せずにいただいてしまっている「自然からの恵み」にあらためて感謝をしたいと感じた取材でした。
取材にご対応下さった松原様、参加者の皆さま、ありがとうございました!