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最先端のエコハウス!アジア発のオフグリッド住宅「Earthship」とは?

2020.9.18

皆さんは「アースシップ」という言葉を聞いたことはありますか?

アースシップとは、アメリカを拠点とする建築家、マイケル・レイノルズ氏が1970年代からアメリカを中心に建て始めた住宅スタイルで、今では世界中でおよそ3000棟が建設されています。

この住宅スタイルの特徴が、とても興味深く、

●太陽光や風力などの自然エネルギーで電気を自給自足する(=オフグリッド)
●生活用水を雨水でまかなう。
●おもな建築資材がいわゆるゴミ。(廃タイヤや空き缶、空き瓶)
●デザイン性に富み、美しい。

これらを満たす、まさにエコハウスなのです。

そんな“循環型”オフグリッド住宅「アースシップ」が、アジアに初めて完成。

なんと日本の徳島県にあるらしい、と聞き、今回は施主の倉科智子さんにお話を伺いました!

倉科さんのご出身は、神奈川県。

2015年の夏に「地域おこし協力隊」として美馬市に移住されました。

元々山や自然や動物に囲まれて暮らす生活に興味があったものの、オフグリッドハウスに住みたい!と思っていたわけではありませんでした。

そんな倉科さんがオフグリッドハウスに興味をもった大きなきっかけは、「東日本大震災」。

当時アパート暮らしをされていた倉科さんのアパートでは、電力供給が原子力発電でした。

だれもが「問題ない」と思い使っていた原子力発電も「完全なシステムではない」と日本中のみんなが実感した出来事でしたね。

倉科さんもその事実に衝撃を受けた一人で、当たり前だと思っていた都市部での便利な暮らしが、一度に崩れてしまう・・・国中がどうしたらいいかわからなくなる・・・ということに直面されました。

このことが「自分はこれからどうしたいのか?」を問うきっかけとなり、倉科さん自身、行動するよりもまずは「じっくり考えよう」と思ったそうです。

そして美馬市に移住後、「EarthshipMIMA」を建設する運びとなりました。

 

建設の際には、4週間ほど外国チームが来てくれて、この期間でほぼ住宅の機能が完成!

同時に、オフグリッドハウスの建設に興味を持った人を集めワークショップを開催し、50人ほど集まった人々で建設を行いました。

内装も入れると、完成するまでに約1年の月日がかかったのだとか!

 






ワークショップの参加者はほとんどが全くの素人で、中にはDIY経験ゼロの主婦の方もいたりと、決して技術力が高いわけではありませんでした。

「だからこそ『不完全』なところがこの家の魅力なんです。

修繕していくところもある中で、“心地いい住まいにするにはどうしようかな?”と考えるのも楽しいです。

今まで知らなかったことも学べるので一石二鳥ですね。」と語ってくれました。

『不完全』を楽しめるというのは考えさせられる言葉です。

自然と共存しながら楽しんで暮らしていけるのは理想的な暮らし方のひとつ。

取材をしていく中で「住んでいて不便なところは?」と聞いてみると、「不便なところはない」と意外な答えが返ってきました。


不便と思うところは人によってちがいますが、

例えば、EarthshipMIMAはソーラー発電なので天気の悪い日がつづくと節電しないといけなくなったり、

お風呂の追い炊き機能がないので湯舟につかれない・・・など、そういったことも実際にはあるようなのですが、

倉科さんにとっては「不便」というよりも「住んでいくうえでの課題」として受け止めているそうです。


そして、もう一つ驚きなのが、
「室温が21℃前後に保たれているため、冷暖房器具を必要としない」という点です!


EarthshipMIMAは、断熱・保温性を重視し、冷暖房器具を必要としません。

太陽光をすごく取り入れるつくりになっているため保温効果に優れていて、半地下構造になっているので断熱効果もあるんです。

冷暖房器具を使わなくても快適に過ごせる、というのは理想的ですよね。

 

また、2020年7月からゲストハウスとしてOPENし、オフグリッドハウスに興味を持つ人が実際にくらしを体験できるようになりました。

現在は間取りの関係上1日1組にお泊まりいただくスタイルですが、今後は「体験したい」と思っている方が
気軽に立ち寄れるような場所として、増築かまたはもう1棟建てられたらいいな、と考えているそうです。

 

最後に、「倉科さんにとっての持続可能なエコ活とは?」とお聞きしてみました。

 

「これ以上無理に自然を壊してまで自分たちの生活を便利で豊かにする必要はないと考えています。

これがいい!という持論はないですが、無理をして活動しても続かない、と思っています。

自分が心地いいと思える暮らしの中で、これはやめたらいいんじゃないか、またはこうしたらいいんじゃないかと思えることを無理せず一人一人が行動していくことが大切なんだと思います。

人間以外の自然界の生き物の小さなコエを聞きながら、ちょっとずつ歩み寄る・・・私たちの生活の中で、いろんなもののコエが聞こえる世界になっていくといいなと思っています。」

 

理想はもちろんあるけど、急に方向転換するのはやはり無理があるし続かない、と考えている倉科さん。

取材チームもお話を聞きながら「うん、うん」と共感。

豊かな生活を送ってきた分、急にそれを「やめろ」と言われても、一時的にしかやめられない。。。「ちょっとずつ歩み寄る」のは、私たち1人1人の課題なのかも。

 

倉科さんは、「美馬市に来て学んだことが本当にたくさんあると感じています」と語ってくれました。

自然エネルギーでの生活に加え、周囲に住む方々との助け合いの大切さも実感しているそうです。

 

そういった点では、離島である宮古島も同じだなと思います。

都会に住んでいると便利なことが当たり前で「自然への配慮」を忘れがち。。。

 

宮古島では、自然のありがたみを毎日感じることができ、その思いもあり道端に落ちているゴミや漂流ゴミもとても気になってしまう・・・

こういった気づきがあれば、生活にエコを取り入れるきっかけになるのかも知れません。

 

インフラを必要としないオフグリッドハウス「EarthshipMIMA」はとても新しくて先進的ですね。

これからもこのようなオフグリッドハウスが日本に浸透していくのかも知れませんね

編集チームも体験してみたい!という声あり!そしてできれば宮古島にもこんな家ができたらいいな、とっても楽しそう笑

 

倉科さん、取材のご協力本当にありがとうございました!